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亡くなった41歳の韓国の配送運転手…徹夜で週63時間労働

登録:2024-06-28 08:57 修正:2024-06-28 09:27
過労死の疑い…「一日340個あまり配送」 
クーパンCLSが「直接業務指示」
クーパンの配送専門子会社「クーパンロジスティクスサービス(CLS)」の担当者がクーパンクイックフレックスとして働くチョン・スルギさん(41)に業務を直接指示しているショートメッセージ=全国宅配労働組合提供//ハンギョレ新聞社

 クーパンの配送専門子会社「クーパンロジスティクスサービス(CLS)」でクーパンクイックフレックス(1トントラックを所有する運転手)として働いていた40代の労働者が先月亡くなっていたことが、最近になって明らかになった。徹夜で勤務していたこの労働者の週当たり平均労働時間は63時間だったうえ、最近の一日の配送量は340個あまりにまで爆増していたため、労組と遺族は「過労死」だと主張している。

 全国宅配労働組合と宅配労働者過労死対策委員会(対策委)は27日、ソウル松坡区(ソンパグ)のクーパン本社前で記者会見を行い、「5月28日、CLS南楊州(ナミャンジュ)2キャンプのグッドロジス代理店でクーパンクイックフレックスとして働いていたチョン・スルギさん(41)が、仕事をはじめてからわずか14カ月で過労により死亡していたことが明らかになった」と述べた。チョンさんの死因は心室細動、心筋梗塞で、これらの脳心血管系疾患は過労死の代表的な症状の一つだ。クーパンクイックフレックスは1トントラックを所有する特殊雇用職の配送運転手で、配送件数に応じて手数料を受け取るクーパンの間接雇用労働者だ。

全国宅配労働組合と宅配労働者過労死対策委員会が27日、ソウル松坡区のクーパン本社前で記者会見をおこなった後、同社に抗議書簡を手渡そうとしたものの、同社の社員によって遮られている=キム・ヘジョン記者//ハンギョレ新聞社

 対策委の説明を総合すると、チョンさんは週6日勤務で、勤務時間は午後8時30分から翌日午前7時まで。一日10時間30分、週63時間労働だ。労災を判断する際、深夜労働(夜10時~午前6時)の場合は労働時間を30%割り増しするため、労災基準上、チョンさんの週当たり労働時間は77時間24分にのぼる。労災認定過労死基準(週当たり60時間超)を超える「明白な過労死」だというのが対策委の主張だ。対策委はまた、「労働の程度も過酷だった」とし、「一日平均物量は250個で、亡くなる50日前には物量が340個あまりに急増していた。また『ロケット配送』システムのせいで一日3回キャンプに戻って荷物を運ばなければならなかったため、キャンプと配送地との間を一日最低100キロ行き来していた」と述べた。

 さらに今回は、CLSがチョンさんに業務を直接指示していた様子も捉えられているため、同社が過労死の責任を免れるのは難しいとみられる。対策委が公開したCLSの担当者とチョンさんとのショートメッセージでのやりとりを見ると、CLSがチョンさんに「同僚(の配送)の手伝いをお願いします」、「(配送支援に)行ける方はスルギさんしかいません」など、業務を直接指示している。2月8日に相次いで配送を迫るメッセージに対し、チョンさんは「犬のように走っている」と答えている。CLSはこのかん、宅配労働者の過労問題について「クーパンの勤労者ではない」として責任を回避してきた。

 この日、記者会見をおこなったチョンさんの父親のチョン・グムソクさん(69)は、「膝がすり減ってしまいそうだと言っていた息子、犬のように働いていると言っていた息子を思うと胸が張り裂ける。私の息子には懸命に働いたという罪しかない。人間を人間だと思わない企業の横暴が私の息子を死に追いやった」と述べた。そして「二度と息子のような無念の死が起きないようにしてほしい」と訴えた。

 対策委の主張に対してクーパンはハンギョレに、「宅配運転手の業務時間と業務量は、専門配送業者と宅配運転手の協議により決定される」とし、「CLSは国土交通部の標準契約書に明示されている週当たり作業日数と作業時間に従って管理することを、契約内容を通じて専門配送業者に要求している」と語った。

キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1146779.html韓国語原文入力:2024-06-27 16:42
訳D.K

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