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「台風プロモーション」で配達員の「安全運転を応援」というデリバリーサービス=韓国

登録:2023-08-11 06:32 修正:2023-08-11 07:17
ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 「雨はなんとか大丈夫ですが、風が怖い。前がちゃんと見えません。こんな日にも出前アプリは営業を休止せずそのまま運営されているし、そこに『プロモーション』(配達員に配達料を上乗せすること)まで表示されると(配達に行くかどうか)悩まざるを得ません」

 ソウルが台風6号「カーヌン」の影響圏に入った10日午後1時ごろ、フードデリバリーサービスの配達員のKさん(54)はこの日13回目の配達コールを受けた。Kさんは危険を冒してまで配達を続けるべきか、それとも休むべきかを悩んでいた。フードデリバリーサービスは通常通り運営されるうえ、一部アプリでは「5件の配達に1万ウォンを上乗せする」プロモーションまで行っているからだ。「ある程度のお金を稼ぐためにはこんな日に働かなければならなりませんが、あまりにも危険。さっきも橋を渡っている時、滑りそうになりました」

 フードデリバリーサービス労働組合とライダー(配達員)ユニオンの同日の説明によると、主なフードデリバリーサービスの大半は配達員たちに台風に備えた「留意事項」を伝えただけで、サービスはそのまま継続した。

 一部のアプリは「安全運転」を名目に配達料を上乗せしたりもした。「クーパンイーツ」は光州(クァンジュ)、釜山(プサン)、大邱(テグ)地域の配達員に「安全運転応援ミッション」という名目で1万500ウォン~1万6500ウォンまで配達料を上乗せするというメッセージを送った。「ドゥイット」も前日、配達員に「安全運転をしても時給が保障されるよう、各種プロモーションを進める予定」だと告知した。

 フードデリバリーサービス労組のキム・ジョンミン企画政策室長は「ほとんどのプロモーションが安全運転を名目に掲げているが、運行が危険な天候にもかかわらず、より多くの配達労働者を引き込むためのもの」だとし、「配達労働者が収入と安全の間で悩まざるを得ない状況を作る」と指摘した。

 フードデリバリーサービス労働組合はこの日声明を発表し、「(危険に備えるよう呼び掛ける案内にとどまるフードデリバリーサービス企業の台風対応は)危険への備えを配達員個人に任せてしまうこと。台風の危険に備えるため、出前アプリの運営を中断し、中断された時間だけ専属性の強いライダーに補償する案を用意すべきだ」と主張した。実際、フードデリバリーサービス労組と大手出前アプリ「配達の民族」は、6月に結んだ団体協約に「台風、大雪、豪雨など重大な危険が予想される場合、サービスを中断することができる」という規定を設けた。同日午前、「配達の民族」は江原道、慶尚道、全羅道、済州道など台風の影響が大きい地域でサービスを一部中断した。

パン・ジュンホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1103838.html韓国語原文入力:2023-08-10 16:59
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