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クーパン本社=資料写真//ハンギョレ新聞社

　「配達員は祖母の葬儀に行ったという理由で、予備役訓練に行ったという理由で、子どもが病気なので休んだという理由で、クレンジング（配達区域取り上げ）を受けるなど、現場の状況は非常に残酷です。遂行率基準を満たすために盆正月も働き、昨年は豪雨で道路が浸水した時も朝7時に定時配送ができないのではないかと不安に震えたというのが現実です」

　クーパンロジスティクスサービス（CLS）のある代理店長が11日、ソウル汝矣島（ヨイド）の国会で行われた討論会に出席し、現場で見た宅配労働者の現実を説明した。CLS所属の宅配労働者の過労と雇用不安について、代理店主までもが問題を提起しているのだ。CLSは代理店主と営業契約を結び、宅配労働者は各代理店に属して配送業務に当たる。証言した代理店長は「指標を達成させるために自分も不足分の配送を行っている」と話した。

　全国サービス産業労組連盟と進歩党のカン・ソンヒ議員はこの日、「宅配過労死を防ぐ社会的合意の規範からみたクーパン（CLS）の契約関係と労働実態」と題する討論会を開催し、「CLSは宅配労働者の過労死を防ぐための社会的合意を履行しておらず、代理店との契約関係においても実定法に違反している」と主張した。

　彼らがCLSを名指しして問題視したのは、これまでに宅配業界、宅配労働者、政府、国会が形成してきた社会的合意の枠組みから、業界の後発走者であるCLSだけが外れている一方で、規模を広げているからだ。2021年に実現した「宅配過労死問題の解決のための社会的合意」（社会的合意）に、当時は新生業者だったCLSは参加していない。業界第2位となっている現在も参加を拒否している。

　社会的合意に沿って改正された生活物流サービス発展法（生活物流法）などに違反しているとの主張もなされた。生活物流法は、従事者（宅配労働者）の保護のために宅配会社と代理店は契約関係において業務量を予測できるようにすることとしているほか、契約を安定的に維持するよう定めているが、CLSの契約書は委託業務の範囲を定めない。また、遂行率によっては契約を解約できるよう規定している。「付属合意書」にもとづいて生鮮食品の配送率、月遂行率、休業日配送率などの指標を達成させ、これが達成できなければ担当配送区域が取り上げられる。

　その結果、CLSの労働時間は生活物流法に規定されている週当たり60時間を超える可能性が高い。韓国労働社会研究所が227人のCLS労働者に対して4月に実態調査を実施したところ、労働者の一日平均の配送件数は318件、一日平均の勤務時間は9.8時間、週当たりの平均労働日数は5.9日だった。また、10人中4人が区域取り上げ（クレンジング）を受けたり、目撃したりしていた。全国宅配労組のハン・ソンボム政策局長は「クーパンが宅配産業に参入して代理店と区域を保障しない契約を結んでいるため、労働者もやはり区域割り当てが保障されない」、「クーパンは社会的合意後に消えつつあった『恒常的雇用不安』を、クレンジングによって復活させている」と指摘した。

　宅配労働者過労死対策委員会のパク・ソグン共同代表は「CLSは生活物流法上の宅配サービス事業者として事業を行っておきながら、社会的合意を守らないだけでなく、法にも違反しており、標準契約書も用いていない」とし、「これは宅配産業の現実のエコシステムをかく乱し、社会的ダンピングをほしいままにするもの」だと語った。

11日午後、国会議員会館第5懇談会室で「宅配過労死を防ぐ社会的合意の規範からみたクーパン（CLS）の契約関係と労働実態」と題する討論会が行われている=チャン・ヒョヌン記者//ハンギョレ新聞社

　民主社会のための弁護士会とサービス連盟は11日午前、CLSは代理店と契約を結ぶ際に付属合意書によって販売目標の強制などを行っているとし、公正取引法、下請け法違反で公正取引委員会に告発した。民弁の民生経済委員会のイ・ジュハン弁護士は「代理店に最小物量を保障しておらず、いつでも契約を解約できるようになっているのが最も大きな問題点」だと指摘した。

　クーパンはこの日、ハンギョレに「生活物流サービス法などの関連法令を順守しており、代理店の宅配労働者不足による配送遅延と宅配労働者の業務過重を防止するために、代理店との協議を経て委託路線を変更し、契約を維持している」とし、「これは既存の宅配業界の慢性的な問題を改善したものであり、一部代理店の宅配労働者との契約の解約とはまったく関係ない」と述べた。