京畿道華城市(ファソンシ)の工場火災惨事の犠牲者のうち18人が移住労働者であったことが明らかになった中、移住労働者のほとんどは一次電池メーカー「アリセル」の所属ではなく「メイセル」という会社に所属して働いていたことが確認された。また、彼らの雇用関係は「違法派遣」だとみられる。
メイセルの関係者は25日のハンギョレの電話取材に対し、「我々は派遣手数料のみを受け取って人夫(労働者)を派遣しており、(労働者に)作業を指示したこともなく、労働者の顔も知らない」と述べた。メイセルは爆発事故が発生したアリセルの工場の第3棟2階に所在し、「一次電池製造」などを事業目的としている会社だ。
これは元請け会社のアリセルの説明と相反する。アリセルのパク・スングァン代表取締役とパク・チュンオン本部長はこの日の記者会見で、亡くなった移住労働者について「人材供給業者から供給された派遣職」だと述べたかと思えば、「請負(業者に所属する労働者)」だと述べるなど、見解が右往左往している。また、移住労働者に対する業務指示は「派遣業者がおこなっていた」とも述べている。
しかしメイセルの関係者は、「アリセルに入ることもできず、盆正月に会社の幹部たちから贈り物をもらう時以外は行くこともない」とし、「派遣業者が現場の労働者に業務指示をしていたというのはうそ」だと反論した。そして「携帯電話のショートメッセージで通勤バスの乗車位置を案内し、その後、アリセルに到着したらアリセルの管理者に引率されて働く。それがすべて」だとし、「アリセルから何人か送ってくれと言われれば送り、業務が未熟だということで交換してくれと言われれば交換していた」と述べた。
メイセル関係者の主張どおりなら、メイセルとアリセルは派遣事業主と使用事業主の関係に当たる。メイセルは移住労働者をアリセルに派遣し、派遣労働者はアリセルの指揮・監督に従って働いていたのだ。しかし製造業の生産工程は、「派遣勤労者の保護などに関する法律」が認める派遣業種ではないうえ、メイセルは勤労者派遣事業許可を受けておらず、派遣法上「違法派遣」である可能性がある。
メイセルは外国人求人・求職ポータルに求人公告を出しており、移住労働者を日雇いのかたちでアリセルに派遣してきたという。仕事に応じて流動的に人材を用いることがアリセルの目的だったとみられる。しかしメイセルは、派遣した移住労働者を労災保険にも加入させていなかった。
この日、共に民主党のパク・ヘチョル議員が勤労福祉公団から提供を受けた資料によると、メイセルには労災保険加入者が1人もいない。メイセルは4月までは「ハンシンダイヤ」という社名で同じようにアリセルに労働者を派遣していたが、ハンシンダイヤの労災保険加入者は韓国人3人、外国人2人のみ。労災保険は国籍を問わず全員の加入が義務付けられている。
アリセルのこのような雇用構造は、労働部の調査の対象になるとみられる。労働部の関係者は、「(アリセルとメイセルの関係が)請負関係だと断定するのは不適切な状況」だと述べつつ、「今後、調査を通じて派遣なのか請負なのかを確認する計画」だと語った。