北朝鮮とロシアが、一方が武力侵攻を受けて戦争状態になった場合、互いに対しただちにあらゆる手段で軍事援助を提供することで合意し、事実上同盟関係を回復した。このような事実は20日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が前日の平壌(ピョンヤン)首脳会談で結んだ「包括的戦略パートナー関係に関する条約」全文(以下2024年条約)を北朝鮮が異例にも公開したことで分かった。これに対し、韓国大統領室の高官は「(ロシアと戦争中の)ウクライナに殺傷力のある兵器を供与しないことにした方針を見直す」と述べた。
朝鮮中央通信がこの日報じた「2024年条約」の第4条は、「双方のいずれか一方が個別の国家または複数の国家から武力侵攻を受け、戦争状態におかれた場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に準じ、保有しているあらゆる手段で軍事的およびその他の援助をただちに提供する」ことを明示している。同盟の間で行われる軍事的相互援助を義務づけたものだ。この条項は1961年の「朝ソ同盟条約」の自動介入条項である「あらゆる手段でただちに軍事的援助を提供する」と類似している。ただし、2024年条約は1961年の同盟条約にはなかった「国連憲章第51条(自衛権行使)とロシア連邦法(国外派兵は連邦議会決定)と北朝鮮法に準じ」という条件を付けている点で異なる。大統領室の高官は「自動軍事介入ではないと言える」と語った。
北朝鮮とロシアが2024年条約を機に同盟級の関係を回復したことで、朝鮮半島での有事の際にロシアが軍事的に介入できる根拠が作られた。朝鮮半島情勢は過去の冷戦時代を彷彿とさせる韓米日対朝中ロの鋭い対立構図へと変化するものとみられる。
特に2024年条約には、過去1961年の朝ソ条約、2000年の朝ロ友好善隣協力条約に含まれた「統一」という単語も消えた。金正恩委員長は今年1月、「自主、平和統一、民族大団結」といった表現を憲法から削除するよう指示した。北韓大学院大学校のキム・ドンヨプ教授は「北朝鮮の『敵対的な二つの国家』の主張が戦略的決断であることが明らかになった」と語った。
朝ロは計23条に及ぶ今回の条約で、軍事分野だけでなく経済や宇宙、エネルギー、人工知能(AI)、情報通信など広範囲な分野における協力強化も盛り込んだ。
韓国政府はこの日午後、国家安全保障会議(NSC)を開いた後、「政府声明」を発表し「朝ロが『包括的な戦略的パートナー関係に関する条約』を締結し、相互軍事、経済的協力を強化するとしたことに厳重な懸念を示すとともに、これを糾弾する」と述べた。さらに侵略戦争を起こした朝ロの前歴を取り上げ、彼らの軍事協力が「詭弁(きべん)であり、筋が通らない」と批判した。大統領室の高官は「ウクライナに殺傷力の兵器を供与しないことにした方針を見直す」と述べた。韓国は現在、ウクライナに防毒マスクなど殺傷力のない軍需物資だけを供与している。