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【社説】朝ロ結束を自ら招いた尹政権、対外政策の全面的な見直しを

登録:2024-06-20 06:48 修正:2024-06-20 09:20
ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が19日昼、平壌の金日成広場で行われた歓迎式で、肩を並べて歩いている=平壌/ロイター・聯合ニュース

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が19日、平壌(ピョンヤン)で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会談し、一方が攻撃された際に相互支援する「包括的戦略パートナー関係」へと両国関係を格上げした。この動きは、1990年の韓ロ国交樹立で解消された東アジアの冷戦構図が、約30年ぶりに劇的に復活したという、非常に重要な戦略的意味を持つ。韓国が今のような厳しい危機を迎えたのは、政府がこれまで推進してきた偏向的な「価値観外交」も大きな原因となっていることを否定することはできない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は朝ロ協力が朝中ロの三角結束へとつながらないよう、対外政策を全面的に見直すべきだ。

 朝ロはこの日、米国という共通の敵に対抗し、まるで旧冷戦時代のような経済、安保、文化、科学技術などでの全方位的な協力を宣言した。プーチン大統領はこの日、「ロシアは米国とその同盟国が強要する覇権主義的、帝国主義的政策と戦っている」と述べ、金委員長は「ロシアのすべての政策を無条件に支持することを、改めてこの場で明確にする」との意思を表明した。両国はこのような共通認識の下、「長期的に両国関係の基礎となる新たな基本文書」である「包括的戦略パートナー関係協定」に署名した。プーチン大統領は会談後、この協定には「一方の当事国が攻撃を受けた際には互いに支援するとの内容が盛り込まれた」と述べた。

 朝ロ関係が今後どのように変化するかは、プーチン大統領が18日の労働新聞への寄稿で簡潔に説明している。両国は「西側の統制を受けない貿易および相互決済システムを発展」させるという。これは、西欧の過酷な経済制裁を受けている朝ロが、米国などの監視を避けて貿易を強化するということを意味する。これで北朝鮮は、核を手にした状態で国連安全保障理事会の制裁などを無力化できるようになった。

 また北朝鮮は、協定に盛り込まれた「相互援助」条項に則り、攻撃された場合はロシアの支援を受けることができる。朝ロが「軍事的援助の提供」を約束した1961年の条約ほどではないが、「準同盟」水準へと安保協力を強化したのだ。北朝鮮も、同条項を根拠としてウクライナと戦争中のロシアを支援することができる。

 保守の一部は、現在の危機を克服するためにロシアへの特使派遣などを主張しているが、成果をあげるのは容易ではなさそうにみえる。幸い、中国が朝ロの戦略的接近を快く思っていない気配を示している。韓国政府はこれまで推進してきた「価値観外交」を捨て、朝ロ協力が朝中ロ連帯へと進展することのないよう、中国との意思疎通を強化すべきだ。すでに多くの限界を露呈してきた外交・安保の主要関係者の交替も積極的に検討してほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1145628.html韓国語原文入力:2024-06-19 22:00
訳D.K

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