朝ロが19日に調印された「包括的な戦略的パートナー関係に関する条約」により、旧冷戦時代に次ぐ「軍事同盟」関係を復元したことが確認されたことを受け、韓国大統領室は「ウクライナに殺傷力のある兵器を供与しないことにした方針を見直す」と明らかにした。制裁で追い込まれ、巻き返しを図っている朝ロを相手に、「強対強」対決を繰り広げるという危険極まりない選択をしようとしているのではないか危惧される。韓国政府は新冷戦の最前線にわらを背負って飛び込もうとする無謀な構想をやめ、朝ロと平和的に「共存」できる新たなアプローチを模索しなければならない。
政府は20日に発表した声明で、「朝ロ条約を締結し相互軍事・経済的協力を強化するとしたことに対して厳重な懸念を示すとともに、これを糾弾する」と明らかにした。大統領室の高官は同日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開いた後、記者団に「(ロシアが)国連安保理の制裁を受けている北朝鮮とこのような条約を結ぶこと自体が深刻なことだ」とし、ウクライナに対して殺傷力のある兵器を供与しないことにした方針を見直すと述べた。
これに先立ち、朝ロは「双方のいずれか一方が武力侵攻を受け、戦争状態に陥ることになれば、他方は国連憲章大51条」などにより「保有しているあらゆる手段でただちに軍事的およびその他の援助を提供する」(第4条)という内容が含まれた条約を結んだ。冷戦期の1961年条約の「自動介入」条項とは違いがあるものの、朝ロ関係が相互防衛義務を負う「同盟」に格上げされたと言っても過言ではない。ロシアのプーチン大統領は19日、「ロシアは(北朝鮮と)軍事技術協力をすることも排除しない」と述べた。核兵器やミサイル、潜水艦など敏感な軍事技術を移転する可能性を残したわけだ。
このような状況で、政府がウクライナに殺傷力のある兵器を供与すれば、ロシアは北朝鮮に致命的な軍事技術を移転する可能性がある。ロシアはすでに北朝鮮に「新型衛星運搬ロケット」技術を伝授したものと推定される。すでにかなりのレベルの軍事技術を手に入れた北朝鮮が、ロシアの最新技術を確保すれば、朝鮮半島の安全保障環境はさらに悪化する。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの2年間、朝ロから送られる警告シグナルを立て続けに無視し、韓米日3カ国同盟の強化だけに「全賭け」してきたが、その結果、南北関係と韓ロ関係が破綻し、ついに今日に至ることになった。尹大統領はこの2年間進めて来た無謀な「価値観外交」を反省を込めて振り返り、長期戦に備えなければならない。韓国が新冷戦の最前線で相手の十字砲火を浴びるわけにはいかない。