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「尹大統領が2千人増員変更交渉を公式化しなければ、医政対話は始まらない」

登録:2024-04-03 08:28 修正:2024-04-03 17:15
医療界は対国民談話を信頼できず 
政府が要請した統一案づくりも厳しい 
「患者含む対話の枠組み作りを」 
尹大統領、専攻医と自ら会う考えを明らかに
医学部や大学病院の教授が外来診療と手術を減らすことを決めた1日午前、ソウルのある大学病院の教授研究棟を医療スタッフが移動している/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が集団行動中の専攻医(インターン、レジデント)に自ら会うと表明した。医学部教授団体が「大統領は専攻医団体の代表と直接会ってほしい」と要求したことに対し、尹大統領が受け入れたかたちだ。両者の対面を医政対立解消の糸口とするためには、政府が「2千人増員」変更の可能性に対する態度を明確にするとともに、協議体の設置に積極的に取り組むべきだと指摘する声があがっている。

 大統領室は2日、報道官室を通じて「尹錫悦大統領は、多くの医療界団体があるなか、集団行動の当事者である専攻医らに会って直接話を聞くことを希望している」とし、「大統領室は国民に対して常に開かれている」と述べた。これに先立ち、全国医学部教授協議会(全医教協)非常対策委員会のチョ・ユンジョン広報委員長は、「まず大統領から手を差し伸べてほしい」、「若者たちは尹大統領の誠意ある政策を理解できず反抗ばかりしていると考えずに、愛情を持って包容してほしい」と述べている。2月19日の専攻医による集団辞表提出の開始以降、尹大統領が対話に乗り出すのは初めて。医療の空白の長期化によって国民の被る不利益が拡大していることから、尹大統領が自ら専攻医らの復帰を説得しようとしているものとみられる。

 尹大統領の提案について、専攻医側は立場を明らかにしていない。ただし、チョ・ユンジョン広報委員長は大韓専攻医協議会のパク・タン代表に対して「招かれたら何の条件も付けずに会ってみる」ことを呼びかけている。

 医療の空白は拡大し続けている。この日の保健福祉部の発表によると、全国43カ所の圏域救急医療センターのうち、医療スタッフ不足などの理由で一部の重症患者や救急疾患の患者を収容できなくなっているセンターは、3月第1週の10カ所から3月最終週には14カ所に増えている。また、今年のインターン任用対象者3068人のうち、全国100の研修病院との契約を放棄した人の数は2697人(3月29日現在)にのぼる。2日は任用登録の最終日だったが、契約放棄で医療スタッフはさらに減る見通しだ。

 このような状況で、尹大統領と専攻医との対面が実現し、それを専攻医の復帰などの成果へとつなげるには、増員規模の再調整の可否を政府が明確にする必要があるという指摘の声があがっている。医学部教授や専攻医は対話の前提条件として「医学部増員の撤回」を掲げている。ハン・ドクス首相は3月末に教育界や医療界の関係者と面談しているが、2千人増員にこだわっていることから、医学部教授や専攻医には会えていない。尹大統領も前日、「より妥当で合理的な提案を持ってくれば変わる可能性がある」と増員規模の再議論の可能性をほのめかしているが、同時に2千人増員の必要性も強調していることから、医療界の反応は冷ややかだ。

 専門家らは政府に対し、増員規模に対する態度を明確にしたうえで、医療界だけでなく患者団体や市民団体などを含めた対話の枠組みを作るよう助言している。延世大学医学部のパク・ウンチョル教授(予防医学)は、「政策の最終決定権を持つ大統領が増員の数を対話のテーマとして公式化しない限り、医政対話は始まらないだろう」と指摘した。また、人道主義実践医師協議会のチョン・ヒョンジュン政策委員長は「政府が2千人増員を再検討すると医師に対して譲歩するにしても、定員の調整は医師以外の専門家や市民社会団体の代表、大学関係者などの幅広い主体が集まって議論すべきだ。そうでなければ、今の政府発表のような医療や教育の現実とかけ離れた案が出てきてしまうだろう」と述べた。

チョン・ホソン、キム・ユンジュ、イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1134968.html韓国語原文入力:2024-04-02 20:17
訳D.K

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