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[社説]省察も対立の調整も見られない「マイウェイ」尹錫悦大統領談話

登録:2024-04-02 00:56 修正:2024-04-02 10:02
尹錫悦大統領が1日、ソウル龍山の大統領室庁舎で、医療改革について「国民に申し上げる話」を発表している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が1日、「国民に申し上げる話」と題する国民向け談話を発表した。就任後3度目の談話だ。ちょうど総選挙まで残り少ない時期であることから、大きな関心を集めた。しかし51分に及んだ談話で、尹大統領は「国政基調を変えるつもりはない」ということを明確にした。すでに長期化の兆しを示している「医学部定員の拡大」問題だけでなく、国政全般にわたって省察と変化のメッセージは入っていなかった。

 談話は、最大の懸案である医学部の増員を含む医療改革に焦点が当てられていた。なぜ増員規模が2千人でなければならないのかを説明するのに多くの時間を割いた。医療界の主張に一つひとつ反論しつつ、歴代政権の挫折と失敗を繰り返さないとの意志を示した。しかし、こう着状態に陥っている医政対立の「出口」は提示できていない。いくら大義名分のある改革だとしても、長引けば国民の疲労は蓄積する。医学部の増員も同様だ。さらに、専攻医などの集団行動が長期化し、医療の空白は懸念にとどまらず緊迫した現実となっている。

 もちろん、政府案の全面撤回と「白紙」からの議論を要求して交渉そのものを拒否している医師たちの行動は度を越している。国民も知らないわけではない。しかし、見ていていらいらしてくるのは大統領も同様だ。尹大統領は談話で、「政治とは韓国国民の問題を解決すること」だと述べた。ならば、原則と意志ばかりを強調するだけでは足りない。談話の前に、少なくともこの問題の解決の糸口くらいはつかんでおくべきだった。そのような事前準備もなしに、医師たちに対して「統一案を持ってこい」とボールを投げた。それで問題が解決するだろうか。医政対立が長期化すれば、損害は結局のところ罪のない国民が被ることになる。

 国政懸案は医学部の増員以外にも多い。対策もなく高騰する物価をはじめとする民生苦、イ・ジョンソプ前オーストラリア大使の任命と辞任など、大統領が自ら回答すべき問題は山積している。そのため、総選挙での敗北の危機感が高まっている与党は連日、大統領がひざまずくべきだと叫んでいる。しかし、それには一言も言及していない。むしろ貨物連帯のストライキへの強硬対応、健全財政、韓日関係の改善、原発体系の復元などを成果として列挙し、「人気のない政策も果敢に実践してきた」と述べた。医療改革の意志を強調しようとして言い出したものだが、「マイウェイ」基調を重ねて明らかにしたかたちだ。「より低い姿勢で、国民の非常に小さな声にも耳を傾ける」という前日の誓いは空言だったのか。なぜ国民向け談話をわざわざ発表したのかという疑問を抱かざるを得ない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1134769.html韓国語原文入力:2024-04-01 18:01
訳D.K

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