本文に移動

「韓国の大規模病院、強制退院に病室がらがら」車椅子で国軍病院へ

登録:2024-02-22 06:39 修正:2024-02-22 07:56
一般病棟の患者減らすため、看護師には強制休暇の圧力も
21日、京畿道城南市の国軍首都病院に入ってくる男性(65)。慢性骨髄炎で高麗大学九老病院に入院していたこの男性は病院に退院を勧められ、同日、急いで国軍首都病院を訪れた=クァク・チンサン記者//ハンギョレ新聞社

 「医者がいないと言われて退院したのですが、家では傷口が治らなくて、ここに来ました」

 専門医らが医療現場を離れて2日目の21日、夫が乗った車椅子を押して京畿道城南市(ソンナムシ)の国軍首都病院を訪れたAさん(59)が語った。Aさんの夫は慢性骨髄炎の診断を受け、高麗大学九老病院で手術を受けて入院していた。しかし、19日に担当教授に「専攻医の辞職のため診療する人がいない」と退院を勧められた。Aさんの話によると、病室にいた5人のうち重症患者1人を除いた全員が「半強制的に」退院させられたという。

専攻医の3分の2ほどが医学部の増員に反対して医療現場を離れたことが確認された21日、ソウルのある大学病院に救急車で運ばれた患者が到着した/聯合ニュース

 韓国政府が専攻医の集団辞職による医療空白を埋めるため、公共病院の診療を延長し、国軍病院を民間に開放した。同日、ハンギョレが訪れた国軍首都病院には、大学病院などで診療を受けられなかった一部の患者が訪れていた。

 Bさん(56)も盆唐ソウル大学病院の救急救命センターで治療を受けられず、この日国軍首都病院を訪れた。Bさんは「一昨日、息子があごを骨折した。早く手術をしなければならず、救急救命センターに行ったが、担当医師がいないと言われ、病院を後にした」と語った。国軍首都病院の患者控え室の横にある案内窓口には「民間人の外傷患者関連業務で、席を外しております」という案内板があった。

 一方、ソウル西大門区(ソデムング)の新村セブランス病院では、患者が続々と退院手続きを踏むなど、外に押し出されていた。この日、病棟から退院し、近所の療養病院に搬送された患者の母親のCさん(64)は「息子は脳出血患者だ。病院でリハビリをしようとしたが、リハビリ担当の専攻医がいないから転院してほしいと言われた」とし、「病室ごとに患者1人か2人だけが残っている状況」だと伝えた。実際この日、ソウル新村セブランス病院本館11階の病棟5人室12室のうち、4室は空いていた。

 一方、一部の大学病院は一般病棟の患者が減ったとの理由で、看護師に強制休暇を勧めていることが確認された。専攻医辞職の余波で診療補助(PA)看護師や集中治療室勤務の看護師が激務に苦しむ中、一般病棟の看護師は年次休暇を使うよう圧力を受けているわけだ。

 ソウル聖母病院に勤務するというある看護師は、「本来、18~19日は休みではなかったが、専攻医の集団行動が本格化してから休むようにと言われ、20日になって出勤した」と語った。ソウル大学病院のある病棟に勤務する別の看護師も「病棟側は入院患者が半分以上出たため、患者がいなくて強制的にオフや年次休暇を使わせようとする雰囲気」だと話した。医師たちの集団行動にともなう看護師たちの強制休暇は、2020年に地域医師制度と公共医大設立に反発し医師が集団休診した時も波紋を広げたが、労働者の同意のない強制休暇は労働基準法違反だ。

 これに対し、延世医療院の新労働組合は強制休暇を懸念する声明を新村セブランス病院内に貼ったりもした。新労働組合は声明書で、「このような大混乱の中で一部の管理者は患者が減ったとし、早くも強制休暇の話を始めたという。どうか病院側は、診療の空白と苦情で苦労しているスタッフたちを労わるどころかまた新たな物議をかもすようなことは控えてほしい」と書いた。

 診療補助(PA)看護師たちは依然として人手不足に苦しんでいる。ソウル上級総合病院に勤務するある看護師は「外科はPAの当直がないのに、PAの看護師一人が1カ月間ナイト(夜)勤務するという話を聞いた」とし、「人手不足で明白な違法行為が行われている」と語った。

キム・チェウン、クァク・チンサン、チョン・ボンビ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1129267.html韓国語原文入力:2024-02-22 01:42
訳H.J

関連記事