政府は、今年行われる入試から医学部の入学定員を現在より2千人増員し、それを5年間続けて1万人の医師を追加確保することを決めた。医学部定員の拡大は、済州大学医学部が新設された1998年以来27年ぶり。これに反発した大韓医師協会(医協)がストライキの方針を表明していることから、政府は保健医療災害危機警報を「警戒」へと現在より2段階引き上げるとともに、医協執行部に対して集団行動をしたりあおったりしないよう命じた。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は6日、自身が主宰した国務会議で「国民の健康と命を守るため、医師人材の拡大はもはや遅らせることのできない時代的課題」だと強調した。続いてこの日の午後には、チョ・ギュホン保健福祉部長官が保健医療政策審議委員会(保政審)の会議後のブリーフィングで、今年の高校3年生が大学に進学する2025学年度から、全国40の医学部の募集定員を現在の3058人から5058人へと2千人増員すると発表した。チョ長官は「2025学年度からさらに2千人が(医学部に)入学することになれば、2031年から(医師として)輩出されるため、2035年までの5年間で医師人材が最大で1万人拡充されるだろう」と述べた。
医学部定員の512人増員などを検討していた福祉部が、その規模を2千人にまで大幅に拡大したのは、医療需要に比べて2035年までに医師の数がさらに1万人は必要になるという推計を反映した結果だ。医学部の教育課程を終えるには6年(予科2年+本科4年)かかるため、2025~2029学年度の入学定員を1万人は増やさなければ、それから6年後の2031~2035年にさらに1万人の医師を医療現場に投入することはできないと福祉部は説明した。
政府は非首都圏にある既存の医学部を中心に、増員分を割り当てることにした。ただし、2025学年度から各医学部の入学定員がどのように変更になるかは、この日は発表していない。教育部は各大学の増員需要を再確認する手続きなどを経て定員配分作業を進め、4月中に各医学部の定員を発表するものとみられる。政府は、非首都圏の医学部に地元出身の学生を選ばせる「地域人材特別選考」の選抜比率を新入生の60%以上へと拡大する計画も打ち出している。
この日の政府の発表に先立ち、医協は緊急記者会見を行い、医学部定員を増やせば「ストに突入する」として強く反発した。これを受け福祉部は同日夜、「医師集団行動中央事故収拾本部」を設置するとともに、医療法に則り、医協の執行部などに対して集団行動および集団行動教唆の禁止を命じたと発表した。医協などの医師団体がこれに違反して国民の健康を脅かす違法行為をおこなった場合は、行政処分や告発などの必要な措置を取る計画だ。