本文に移動

「躊躇なく焦土化」豪語した北朝鮮が空軍飛行場に温室農園を建設する理由(2)

登録:2024-02-05 06:45 修正:2024-02-05 08:21
[ハンギョレS]ソ・ジェジョンの一つの半島、一つの世界|戦争準備と農業団地
北朝鮮の金正恩国務委員長が、労働党創建日の2022年10月10日、咸鏡南道咸州郡蓮浦地区の大規模な野菜生産基地である蓮浦温室農場の竣工式に出席している/朝鮮中央通信・聯合ニュース

(1から続く)

金正恩の脅しの裏側

 金正恩(キム・ジョンウン)委員長は2022年2月、蓮浦(リョンポ)温室農場着工式で、「これを基準に、松明にして、全般的な農村発展を強力に確信性を持って推進することが党中央の構想」だと明らかにした。そして10月10日の「党創建日」に合わせて平壌(ピョンヤン)の代わりに蓮浦温室農場の竣工式に出席し、この農場が持つ重要性を示した。それから1年余りが過ぎた昨年12月末、労働新聞は野菜生産計画を超過完遂したと報道し、「知能型統合生産体系を完成し、円筒型の野菜栽培装置を導入した生産方法と多層栽培方法などで、原価を下げながらも生産量を増やした」と説明した。

 このような温室農場の位置と規模程度はグーグルアースで確認できるが、その運営実態は外部から検証するのは困難だ。だからといって、このような主張を単なる宣伝だと片付けることも難しい。宣伝用なら、将泉(チャンチョン)野菜専門の協同農場一つで十分だっただろう。ところが、それよりさらに大きな温室団地を地方に建設し、今後も引き続き追加して各道に温室団地を一つずつ配置する計画だ。さらに金正恩委員長は今年初め、地方発展「20×10政策」を発表し、毎年20の郡を現代化して10年以内に全国のすべての市郡の生活水準を一段階向上させることを目指して、積極的に乗り出した。

 注目すべき点は、最近建設された温室団地の位置に空軍飛行場があったという事実だ。グーグルアースの「過去のイメージ」機能を活用してみると、滑走路とその近隣に待機している飛行機を確認することができる。蓮浦温室農場は2022年まで使われていた「蓮浦飛行場」を取り壊し、その跡地に建てられた。仲坪(チュンピョン)温室農場も2018年、咸鏡北道京城郡仲坪里にあった空軍飛行場を撤去して建設された。また、昨年着工に入った平壌郊外の江東(カンドン)温室農場も飛行場があったところだ。聯合ニュースもこれを確認している。

2021年3月の北朝鮮の蓮浦飛行場の様子=ソ・ジェジョン提供(グーグルアースの衛星写真よりキャプチャー)//ハンギョレ新聞社
2022年2月の北朝鮮の蓮浦飛行場の様子=ソ・ジェジョン提供(グーグルアースの衛星写真よりキャプチャー)//ハンギョレ新聞社
2024年1月の北朝鮮の蓮浦温室農場の様子=ソ・ジェジョン提供(グーグルアースの衛星写真よりキャプチャー)//ハンギョレ新聞社

 このような経済活動は、金正恩委員長の発言を理解する物質的根拠を提供する。北朝鮮が戦争を起こして「武力統一」を目指しているなら、現時点で大規模な温室団地を建設するのは非常に矛盾した行動だ。そのうえ、温室団地を建設するために空軍の飛行場を一つずつ撤去しているのは、武力統一の準備とはみられない。

 これらのことから、金正恩委員長の脅しは、我々を刺激しないでほしいという意味であることが分かる。本当は経済開発にまい進したいが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が誤って刺激した場合は、容赦なく報復するということだ。大韓民国は敵国であり、もはや一つの民族でもないため、核兵器の使用も辞さないという宣言だ。したがって「北朝鮮発危機論」は「韓国発危機論」の双生児といえる。

ソ・ジェジョン|日本国際基督教大学政治・国際関係学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1127130.html韓国語原文入力:2024-02-04 09:23
訳H.J

関連記事