大統領室のチャン・サンユン社会首席秘書官は中小企業の代表と会談し、「重大災害処罰法の適用に対する産業現場からの懸念の声が思ったより大きいということを確認した」と語った。使用者の声を代弁し、50人未満の事業所に対する重大災害処罰法の適用を猶予する考えを重ねて表明したのだ。
大統領室は13日、チャン首席が赴任後初となる民生現場訪問として、12日に京畿道安山市(アンサンシ)の半月(パンウォル)工業団地で安山・半月工業団地地域の7人の中小企業の代表と懇談会をおこなったと明らかにした。大統領室は、企業の代表たちが重大災害処罰法の施行の事前準備に手を焼いているうえ、刑事処罰が懸念されると訴えたと語った。代表たちは「少なくとも政府と与党が推進中の適用猶予立法は必ず実現されなければならない」とし、「法の施行が2年猶予されれば、中小企業もその間に政府と共に安全保健管理システムの構築に積極的に取り組む」という意見を述べたと大統領室は語った。
チャン首席は「企業を処罰して義務を強制するというやり方のみでは、限界と副作用がある」とし、「(政府が)労使と共に労災の予防主体となって積極的に活動できるよう、実質的な準備のための支援対策を整備する」と語った。この日、チャン首席が述べた支援策は、4586億ウォン(約503億円)規模の安全施設装置の設置・改善費の融資▽韓国産業安全保健公団による来年から2026年までの2万人の安全保健専門人材に対する教育の実施▽50人未満の企業2万7千社に対するコンサルティングの実施など。チャン首席は「中小企業に対する労災予防施設の融資事業は、今年の3553億ウォンから4586億ウォンに編成した」とし、「重大災害の脆弱分野である企業支援対策を近いうちに確定し、労災に弱い中小企業に対する政府支援を大幅に強化する」と約束したという。
政府与党は、重大災害処罰法の適用時期を先送りすべきだとの態度だ。昨年1月に施行された重大災害処罰法は、50人未満の事業所に対して2年の猶予期間を設定しており、来年1月27日から適用されるが、大統領室と与党政府は今月3日、高位政府与党協議会でさらに2年延期する法改正を推進することを決めた。これを受けて国民の力は、重大災害処罰法の適用を2026年1月27日へとさらに2年延期する法改正案を提出した。
しかし労働界は、再度の施行延期はできないとして反対している。民主労総のハン・サンジン報道担当は「そのような懸念は法があってもなくても存在するもので、猶予したからといって準備されるものではない」とし、「2021年1月の重大災害処罰法制定後も放置していた政府は、使用者、特に中小業場を口実として、労働者を仕事で死なせたり怪我をさせてはならないという法制定の趣旨をかなぐり捨てている」と述べた。