尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が研究開発(R&D)予算を大幅に削減し波紋が広がっている中、過去数十年間にわたり十分な予算を投入してこなかったために日本の研究開発の貢献度が落ち続けているとする分析を掲載した日本政府の報告書が発表された。国の研究開発をめぐる環境変化が長期的にどのような結果を生むのかを示すものだ。
英国の学術誌「ネイチャー」は25日、「日本の研究がもはや世界的レベルではない理由」と題する記事で、日本の文部科学省が同日に公開した日本の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の英文報告書を引用して報道した。
同報告書で、著者の1人である科学技術予測・政策基盤調査研究センターの伊神正貫センター長は「現在の日本の研究環境は理想的ではないし、持続不可能だ」とし、「研究環境が改善されるべきだ」と強調した。
報告書によると、日本は中国、米国に次いで研究者数が3番目に多い。しかし、これらの人材は10年前と同じ水準の影響力ある研究結果を出せずにいる。世界で発行された論文に占める日本の論文の割合は、2008~2010年の6%(3位)から2018~2020年には4%(5位)に低下。同調査では、1位が米国、2位が中国だったものが1位中国、2位米国と入れ替わり、韓国は10位から7位に上昇している。
また2019~2021年に発表された論文の数で日本は世界第5位だが、最も多く引用された上位10%の論文に占める日本の論文の割合は13位にとどまった。論文数と占有率での1、2位は中国と米国で、韓国はそれぞれ8位と10位だった。伊神センター長は「日本の研究員の生産性が落ちたのではなく、他国の研究環境が過去数十年の間に大きく改善された結果」だと分析した。
報告書はその根拠として、この20年間で各国の大学研究費支出は米国とドイツが80%、フランスが40%ほど増加しており、韓国は4倍、中国は10倍以上になっている一方で、日本は10%増にとどまっていることをあげた。
さらに、日本の研究者は研究に専念できる時間も減っている。文部科学省の2020年の調査によると、日本の大学の研究員が研究に専念できる時間の割合は2002年の47%から2018年には33%に低下。報告書は「大学の研究員は教育、産業協力、地域社会への参加などの様々な役割を担うようになっており、医学分野では病院の収益のための臨床業務により多くの時間を割いている」と説明した。
伊神センター長は「この20年間で日本の博士課程の学生数は21%も減少している」とし、「日本の研究環境は過去に比べて発展しておらず、大学から研究者に提供される職が臨時職であるなど、学界の進路の見通しが徐々に悪化している」と指摘した。
一方、韓国の尹錫悦政権は8月末に発表した来年の国家研究開発予算配分・調整案で、総額を今年に比べ16%以上減の25兆9000億ウォン(約2兆8700億円)としている。国家研究開発予算が減少したのは1991年以来33年ぶり。