ロシアとウクライナ戦争に続き、イスラエルとハマスの戦争まで勃発し、米国が中国封鎖を中心とするインド太平洋戦略を維持するのは難しいという専門家の分析が出た。
国立外交院のイン・ナムシク戦略地域研究部長は12日午前、国立外交院で開かれた「イスラエルとパレスチナ事態と中東情勢に関する緊急公開オン・オフライン懇談会」で、「欧州戦線の疲労度が高まっている状況で、中東で長年対立してきたイスラエルとパレスチナの戦争まで起きた」とし、「米国がインド太平洋地域で中国への圧迫に重点を置いたインド太平洋戦略を維持するか、関心を持って見守らなければならない」と述べた。さらに「米国はイスラエル支持の意思を示し、空母打撃群まで派遣したが、内心当惑しているだろう」とし、「(中東地域に資源を投入しなければならないため)中国牽制に向けたアジア太平洋戦略を中心に域外地図を作ろうとしたバイデン大統領の構想に亀裂が生じた」と分析した。
イスラエル地上軍がパレスチナのガザ地区まで進入して全面戦争を繰り広げるかどうかについては、専門家の間で意見が分かれた。イン部長は「私はこういうシナリオが実現する可能性には懐疑的だ」と語った。一方、国立外交院のチェ・ウソン国際安保統一研究部長は「大規模な地上作戦が行われるだろう」とし、「戦争に準ずるこれほどの攻撃を受けたにもかかわらず、それを座視すれば、また別の挑発につながると考え、非常に強い報復に出る可能性が高い」と予想した。
イスラエルがハマスを攻撃する過程で発生する民間人死傷者の規模も、イスラエルにとって負担になるという分析もあった。西江大学のイ・グヌク教授(政治外交学)は、「イスラエルとパレスチナが戦えば、パレスチナで10倍近く高い死傷者が出る。今回もこれまでと変わらず、民間人被害者が多くなるだろうが、そうなれば世論が分かれ、ハマスが先制攻撃したという事実は弱まり、イスラエルの負担は大きくなるだろう」と見通した。
今回の事態による経済的な脅威と関連し、イン部長は「投資における危険要因である不確実性は生じるが、まだ原油価格には大きな影響を及ぼしていないようだ」と語った。
一方、サウジアラビアがパレスチナを支持すると宣言したことに失望した西側諸国が、50日ほど後に迫った2030エキスポ誘致戦で、韓国を支持する可能性もあるという一部の見通しについて、イン部長は「(今回の事態が)エキスポ選挙戦の状況や版図に大きな変化をもたらすとは思えない」という見解を示した。