ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がイスラエルとパレスチナのイスラム武装組織「ハマス」間の武力衝突について、「米国の中東政策の失敗を示すもの」だと述べた。ウクライナ侵攻によって国際的孤立に陥ったロシアは、今回の事態を米国を批判するチャンスとして積極的に活用している。
プーチン大統領は10日、「ロシアエネルギー週間」フォーラムに出席するためモスクワを訪問したイラクのムハンマド・スダ二首相とクレムリン(ロシア大統領府)で会談し、今回の対立が「中東で米国の政策が失敗したことを示す明確な事例であることに多くの人々が同じ意見を持つと考える」と述べた。さらに「米国は平和構築のための努力を独占しようとし、実行可能な妥協を見出すことに失敗した」と指摘した。ロシアは今年3月、モスクワに代表団を派遣したハマスを含め、パレスチナと長年にわたり関係を続けている。
プーチン大統領はこのような発言の根拠として、「西側は独立国家の建設というパレスチナ人の根本的利益を考慮しなかった」とし、イスラエルとパレスチナがそれぞれ独立した国家を作って共存することがイスラエルの平和を保障する道だと強調した。米国、イスラエル、パレスチナは1993年にオスロ合意を通じて「二国家共存の解決策」に合意したが、その後平和交渉は長い間停滞してきた。合意内容も事実上死文化した状態だ。中国外交部も8日、「関連当事者が冷静と自制を維持し、直ちに休戦し、民間人を保護し、状況の悪化を防ぐよう求める」とし、「根本的な解決策は『二国家共存案』を実践し、パレスチナを独立国にすることだ」と主張した。
ロイター通信はプーチン大統領の発言について「中東における和平構築過程で、ロシアが果たすべき役割については言及しなかった」と指摘した。ロシア大統領府の報道官は、ロシアはイスラエルとパレスチナの双方と連絡を取り合っており、対立を解決する役割を模索しているが、どうすべきかは明確ではないと述べた。
一方、パレスチナのアブデル・ハフィズ・ノファル駐ロシア大使は9日、「ロシア24」放送で「我々はロシアと毎日接触を維持している。現在、パレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバス議長のモスクワ訪問準備が進められている」と明らかにした。アッバス議長が最後にロシアを訪問したのは2021年11月だ。