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出前アプリ「配達の民族」のように…韓国のユニコーン企業の9割は国外資本が育てた

登録:2020-01-28 09:55 修正:2020-01-28 17:06
[国内ユニコーン企業の資金源現況分析] 
11社のうち10社は、米・中・日などが大株主 
スタートアップ育成する国内資本が脆弱
グラフィック_キム・ジヤ//ハンギョレ新聞社

 昨年12月、出前アプリ「配達の民族」の運営会社「優雅な兄弟たち」が5兆ウォン(約4600億円)に近い価値を認められ、ドイツ系企業と売却契約を締結して以来、企業価値が1兆ウォン以上にのぼるスタートアップを指す「ユニコーン」企業に対する関心が高まっている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が7日の年頭挨拶でユニコーン企業の育成方針を明らかにしたのに続き、共に民主党は20日、総選挙の公約第2号として2022年までにユニコーン企業30社の育成と母胎ファンド1兆ウォン出資などを提示した。しかし、ユニコーン企業やベンチャーファンドの量的成長に焦点を当てているため、深刻な国外資本依存度のような国内ベンチャーの生態系の質的脆弱性を見過ごしているという指摘が出ている。

 実際、ハンギョレが「優雅な兄弟たち」をはじめ、すでにユニコーンの隊列に入った国内企業11社の成長履歴を追求してみたところ、1社を除いた残りの10社はユニコーン企業に成長する過程で、国内資本ではなく国外資本の助けを得ていたことが分かった。具体的には、「優雅な兄弟たち」の場合、昨年12月にドイツ系企業・デリバリーヒーローに所有株100%を譲渡したことで、キム・ボンジン代表だけでなくシンガポールの政府系ファンドであるシンガポール投資庁(GIC)や中国系ベンチャーキャピタルのヒルハウス・キャピタル、セコイア・キャピタル・チャイナ、米国系のアルトスベンチャーズ、世界の主要投資銀行(IB)であるゴールドマン・サックスが投資で大きく儲けた。彼らは資本金3千万ウォン(約277万円)で設立された「優雅な兄弟たち」に度々有償増資に参加するかたちで持分を確保した。彼らが今回の売却契約で得た総収益は数兆ウォン台にのぼる。「優雅な兄弟たち」はハンギョレの電話インタビューで「投資家を選定する際、国籍は念頭になかった。投資を受けなければならかった当時は赤字が膨らんでいる時期だったが、投資するという国内投資家は見当たらなかった」と話した。「配達の民族」の事業性と将来の収益を予測できる国内投資家がいなかったという話だ。

ユニコーン・スタートアップの投資現況//ハンギョレ新聞社

 このような事情は、残りの国内ユニコーン企業も同様だった。免疫治療剤製造会社「Aprogen」を除いたユニコーン企業10社の主要株主に国外ベンチャーキャピタルや私慕ファンドが名を連ねていた。企業価値90億ドルで、国内ユニコーン企業の中で最も価値の高い「クーパン」の場合、株式の100%を保有している親会社のクーパンLLCは、日本のソフトバンクのビジョン・ファンドや米国のセコイア・キャピタル、運用規模世界1位の資産運用会社ブラックロックから3兆ウォン(約2800億円)余りの投資を受けている。企業価値2位のゲーム会社「KRAFTON」も、中国の代表的なIT企業のテンセントの関係会社であるイメージフレーム・インベストメントが5千億ウォン(約460億円)以上を出し、二大株主(持株比率13.3%)となっている。3位の「イエローモバイル」も1億ドル規模の投資をした米国のベンチャーキャピタル・フォーメーション8が主要株主だ。また、別のユニコーン企業である簡易送金アプリ「TOSS」の運営会社「ビバリーパブリカ」は「初期資本金(シードマネー)100万ドルを海外の投資者から誘致した。最初の投資を国外から受けたため、その後も自然に国外投資中心に流れた」と話した。

ベンチャーファンド出資者現況//ハンギョレ新聞社

 ユニコーンの水準には至っていないが、急速な成長傾向にあるスタートアップもまた、国外投資家への依存度が高いのは同様だ。一例として、国内の早朝配送市場を開いた「マーケットカーリー」の主な資金源は、「優雅な兄弟たち」にも投資したセコイア・キャピタル・チャイナやヒルハウス・キャピタルなどの中国系資金だ。資金を提供した側は単純な財務投資(FI)にとどまることもあるが、社外取締役を派遣するなど、経営に直接参加する(SI)こともある。国内創業者の事業戦略が、国外投資家の影響に振り回されやすい構造だということだ。

 これは、創意力とアイデアは革新的だが資本力の弱いスタートアップが事業規模を拡大して収益を出すまで支える国内の民間資本市場が非常に弱いという証拠だ。政府のユニコーン企業の育成策がユニコーンの数を増やすことだけに集中する場合、その果実は国外の民間資本にばかり集中する可能性があるという懸念が出ているのもそのためだ。コリア・スタートアップ・フォーラムのチェ・ソンジン代表は「国内の資本市場の成熟度が低いため、スタートアップの大きくなった企業価値に見合った投資金額に対応できる国内投資家がおらず、政府の政策資金が入った母胎ファンドは投資時期や投資金回収期限などを定めた運営ガイドのために、スタートアップに大規模な投資をするのは難しい」と話した。

チェ・ミニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/925804.html韓国語原文入力:2020-01-28 02:38
訳C.M

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