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韓国「実質最低賃金」は2年連続で下落…物価高を長時間労働・副業で補う

登録:2023-06-23 09:10 修正:2023-06-23 12:53
ソウルのある大型スーパーマーケットで買い物をする市民たち/聯合ニュース

 「合計額を見てお客さんと一緒にびっくりしたりします。お肉一つが含まれていると3、4個の買い物でも10万ウォン(約11000円)。打ち間違えたのかと品物を確認して、お客さんと顔を見合わせて、同時にため息をついたり」。スーパーのレジ係のチン・ヒジャさん(53)は、一日200人あまりレジを通る客との短い会話を楽しむ。そんなチンさんが最近共感する話題は、断然「物価」だ。2012年から10年にかけては物価上昇率が年に1~2%の低物価時代だったが、昨年5.1%を記録した物価上昇率の余波は、全国民が普遍的に体感している。

 手取りで月180万ウォン余り(約19万8000円)の「ちょうど最低賃金水準」であるチンさんと、調理師として働く夫にとって、物価はより大きな影響を及ぼす。だが、彼らが物価上昇にともなう賃金引き上げを要求する力は弱い。頼みの綱は最低賃金の引き上げだ。韓国労働社会研究所は、物価上昇を考慮した実質最低賃金引上げ率が2021年は-1%、2022年は-0.04%と2年連続で下がったと分析。労働者全体の実質賃金減少が昨年第2四半期から始まったことを考慮すれば、一足先に最低賃金が後退したということだ。

 賃金格差は再び広がる兆しを示している。昨年6月現在の雇用形態別勤労実態調査で、上位労働者20%の月平均賃金は一年前より8.3%上がった817万6千ウォン(約90万円)。下位20%は183万ウォン(約20万1500円)で1年前に比べ5.3%の上昇にとどまった。両者の格差(賃金5分位倍率)は4.46倍で、2014年以来9年ぶりに1年前よりも差が広がった。

 低賃金労働であるほど月給ではなく時間給を受け取る比重が高い現実は、物価上昇を相殺して格差を狭める策として長時間労働を増やす余地が大きい。ユニオンセンターのキム・ジョンジン理事長は「物価と賃金引上げにおいて取り残される低賃金労働者の立場では、夜間・休日勤務などで最大限労働時間を増やしたり副業をすることで、長時間労働に戻る可能性が高い」と話した。

 全国サービス産業労組連盟がサービス業種の低賃金労働者1156人に行った調査で「この1年間生活費を補てんするために職場以外のアルバイトをしたことがある」という回答は31.3%だった。主に配達、代行運転、廃ティッシュ回収など。これらは事業場に属さず最低賃金の適用も受けられないプラットフォーム労働だ。

チャン・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1097181.html韓国語原文入力:2023-06-23 07:37
訳C.M

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