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日本の会社員の昼食代は平均640円、韓国はいくら?

登録:2023-03-20 10:32 修正:2023-03-20 18:03
[ハンギョレS] チョン・ナムグの経済トーク 
「ランチフレーション」はいつまで続くか
韓国・日本の会社員の平均昼食代の推移(単位=ウォン、日本は3月15日のレートで換算、2023年2月の数値はそれぞれの外食物価上昇率を反映した推定)。グレーが韓国の会社員、青が外食する韓国の会社員、赤が日本の会社員=資料:ジョブコリア、新生銀行//ハンギョレ新聞社

 日本の庶民の代表的な食べ物のひとつは「牛丼」だ。薄く切った牛肉と玉ねぎを醤油ダレに甘辛く煮込み、ご飯の上にのせたもの。牛丼は1990年代末、「並盛り」で一杯約400円だった。2000年にある業者が290円に下げたのを皮切りに、業者間の価格競争に火がついた。2012年にある業者が280円に下げ、一時的に30円追加割引して250円で売ることもあった。今は出血競争はしていない。市場シェア1位の「すき家」は2月22日、牛丼の価格を品目別に10~30円引き上げた。指標となる「並盛り」は一杯400円で凍結された。23年前の価格だ。

日本の会社員の平均昼食代は600円台

 日本の会社員の昼食代はいくらくらいだろうか。SBI新生銀行は毎年、会社員の1カ月間の小遣いと昼食代の支出額などを調査して発表している。2022年4月、全国の20~50代の会社員(非正規職を含む)2712人を対象に調査した結果、弁当を持参する人が少なくない比重を占めた。男性で33.9%、女性は52.0%で半分を越えた。日本の会社員は昼食時に弁当を買って食べたり(男性21.2%、女性17.2%)、社員食堂を利用(男性15.0%、女性8.3%)する割合もかなり高い。外食の割合は男性が13.2%、女性が6.5%にとどまる。

 弁当を持参したり在宅勤務の際に家で食べる場合を除いて、社員食堂利用、コンビニ弁当、外食などに支出する昼食代は、男性会社員が平均623円、女性会社員は平均656円と集計された。年代別に見ると、20代男性が727円、20代女性が709円で最も支出が多かった。50代は男女ともに平均昼食代が600円を下回った。

 長期間のデフレで有名な日本でも、最近は消費者物価の上昇幅が以前に比べて大きい。2022年4月から2023年2月の間で1.4%上昇。同期間、外食物価指数は2.4%上がった。この期間中、もし会社員の昼食代も外食物価と同等に上がったとしたら、支出額は男性が639円、女性が672円、平均655.5円となったはずだ。ウォンで計算すれば約6370ウォン(3月15日、韓国銀行告示為替レート100円=971.81ウォン適用)になる。

 韓国では就職ポータルの「ジョブコリア」が2009年から会社員の昼食代を調査してきた。標本数が少なく調査項目の細部データを全て公表していないため、日本の資料に合わせて比較するのは難しいが、2021年までは平均支出額を見ることができた。しかし、外食費が大幅に上がった2022年には負担が大きかったためか同じ内容の調査結果を公表しなかった。ただ、「昼食代使用程度」項目として「5千~1万ウォン(約515~1030円)」が69.7%、「1万~1万5千ウォン(約1030~1545円)」が16.7%、「5千ウォン未満」が12.2%を占めたと発表しただけだ。

 2021年5月にジョブコリアが韓国の会社員652人を対象に調査して発表した平均昼食代は6805ウォン(約700円)。弁当を持参する会社員の昼食費用まで含めた平均値だ。会社の近くの飲食店で外食する会社員は平均8049ウォン(約828円)使い、コンビニで買って食べる場合6300ウォン(約648円)、社員食堂利用の場合6009ウォン(約618円)を使うと答えた。それぞれの割合は発表されていない。会社員はこの時も60.9%が「現在支出している昼食代が負担になる」という反応を示した。いくらが適当かとの質問には、16%(1109ウォン)ほど安い5696ウォン(約614円)が適当だと答えた。

 ところがその後、外食の食事代は大幅に上昇した。ジョブコリアの調査が行われた時点が2021年4月ならば、消費者物価指数を活用して現在の昼食代の支出がいくらに増えたのかおおよそ推定することができる。統計庁の集計によれば、2021年4月から2023年2月まで外食物価は13.05%上がった。コンビニの飲食代や社員食堂の飲食代も外食価格分上がったとすれば、平均昼食代は7700ウォン(約792円)に上がったと計算できる。毎日外食をする場合なら、昼食代は9100ウォン(約936円)に跳ね上がったはずだ。

 ジョブコリアの調査で、韓国の会社員が推薦する昼食メニュー(複数回答)は、キムチチゲ、味噌チゲなどのチゲ(鍋もの)類が48.2%で最も多く、定食(34.8%)、トンカツ(33.3%)、スンデスープ(27.3%)の順だった。韓国消費者院の「正しい価格」サイトを見ると、キムチチゲ定食の価格は2021年4月の6857ウォン(全国16広域市道平均)から、今年2月には7820ウォンへと14%上昇した。会社員の平均昼食代の支出額の推定値と似ている。ビビンパは7932ウォンから9020ウォンへと13.7%値上がりした。

 この2年間、韓国の外食費物価の上昇傾向は非常に激しかった。2021年4月から今年2月まで消費者物価が8.24%上がる間、外食物価は13.05%も上がった。外食物価に影響を及ぼしたものを把握するために統計を分析したところ、同期間に15.29%上がった加工食品、12.38%上がった石油類(燃料費)が外食物価上昇に大きな影響を及ぼしたことが分かった。コメ価格が大幅に下落し、農畜水産物の原材料価格上昇(4.21%)の影響は大きくなかった。一方、家賃(2.39%上昇)と外食物価上昇の関係からみて、商店街の賃貸料も外食物価の引き上げに少なからぬ影響を与えたものとみられる。加工食品、石油類などの価格上昇は、4カ月後の外食物価に最も大きな影響を及ぼしていることが分かった。

食事代の心配も増える会社員たち

 消費者物価の上昇傾向が少しずつ鈍化しているとはいえ、外食物価の上昇傾向は依然として強い。1カ月間の上昇率は、昨年11月の0.28%から、12月は0.48%、今年1月は0.52%に跳ね上がり、2月には0.72%に達した。昼食を外でとる会社員の悩みはしばらく深まりそうだ。2019年のジョブコリアの調査(1308人)によると、韓国の会社員の46.3%が会社周辺の飲食店で昼食を食べる。社員食堂の利用割合は28.5%、弁当持参の割合は9.6%だ。

 日本のケースを見ると、会社員が昼食を会社の外で食べる割合が非常に低い。弁当を持ってきたり、弁当を買って食べたり、社員食堂を利用する割合が高い。そのような代案を選択しやすくするのも、外食費高騰時代の意味ある社内福祉だといえる。外食物価の高騰による会社員のため息を、政府も知らんぷりをするわけにはいかないだろう。昨年末の税法改正で、今年から「社内給食などを提供されない労働者が受け取る食事代」の非課税限度が月10万ウォンから20万ウォンに上がった。共に民主党のヤン・ギョンスク議員は、非課税限度を30万ウォンに引き上げる所得税法改正案を10日に代表発議した。

チョン・ナムグ論説委員|ハンギョレ論説委員。経済部長、東京特派員を歴任。著書に『統計が伝えるウソ』など。ラジオやテレビで長きにわたり経済解説を担当した。(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1084136.html韓国語原文入力:2023-03-18 16:06
訳C.M

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