日帝強制動員市民の会(旧勤労挺身隊ハルモ二と共にする市民の会、以下市民の会)が強制徴用被害者の賠償金の一部の着服を狙っているかのように報道した「朝鮮日報」の記事に反論した。
市民の会は23日、報道資料を発表し「原告が多くの市民、人権団体、活動家らに助けられて受け取った金額の一部を他の公益事業の基金として拠出し、社会に寄与するのが望ましい方向であり、推奨されるべきというのが私たちの判断」だと明らかにした。
「朝鮮日報」は同日、「『徴用工賠償金、受領時に20%支払う』…韓国の市民団体、11年前に被害者と合意していた」という見出しの記事を1面と6面にかけて掲載した。内容は「日本による戦時中の徴用工問題で被害者を支援する市民団体が被害者らと『日本企業からどんな形であれ金銭を受け取る場合、20%を団体に支払う』とする内容の約束を11年前に交わしていたことが確認された。一部の被害者遺族が最近、尹錫悦政権の『第三者弁済』による解決策を受け入れ、2億ウォン(約2100万円)前後を受け取った状況で、市民団体が過去の約束に基づき、金銭の支払いを要求する可能性も指摘されている」という内容だ。
これに対し、市民の会は経済的利益のために訴訟に関与したわけではないと反論した。
市民の会は2008年11月11日、ヤン・クムドクさんやキム・ソンジュさん、故パク・ヘオクさん、故イ・ドンリョンさん、故キム・ジュンゴンさんなど、強制動員被害者と遺族が日本政府と三菱重工業を相手取った訴訟で最終的に敗訴したことを受け、翌年3月に彼らを支援するために創立したと明らかにした。三菱重工業と2010年11月8日に1次本交渉を始め、2012年7月6日までに16回にわたり交渉を行ってきたが、交渉が決裂し、2012年10月24日、光州(クァンジュ)地方裁判所に三菱重工業を相手取った損害賠償請求訴訟を起こした。
訴訟提起の前日、原告5人と訴訟代理人代表、市民の会のキム・ヒヨン代表(当時)は約定を結んだ。内容は、被告に損害賠償金、慰謝料、合意金など名称を問わず支給されたお金の20%を「日帝被害者人権支援事業、歴史的記念事業および関連公益事業」のために使用できるよう市民の会に交付し、▽受任者ら(弁護団)が被告から直接損害賠償金などを支給された後、上記で定めた金額を市民の会に直接支給することに同意するとともに、▽市民の会は支給されたお金を約定通り使用し、委任者が生存している間毎年1回具体的な使途を通知することなどだ。
市民の会は「我が国で訴訟を始める時、結果を予測できず、韓日間の政治的問題が絡まっているため、長い時間がかかるとみていた」とし、「実際、2018年の最高裁判決から5年たったにもかかわらず、判決の趣旨が深刻に歪曲され賠償の履行が遅れている」と指摘した。
市民の会は「原告らは韓国社会の善良な力に支えられ、日本での訴訟、国内訴訟ともに経済的負担を負わずに権利回復に乗り出すことができた」とし、「約定書は原告らのように誰かの助力なしには権利回復が難しい韓国社会のまた別の人権被害者を支援し、公益的活動のための土台になるようにしようという趣旨だった」と説明した。
彼らは「約定の内容がなぜ問題になっており、否定的な観点から言及されているのかが疑問に思う」としたうえで、「今回の『朝鮮日報』の報道は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の局面転換用であり、人権団体、活動家たちを国民と切り離すための意図があるものとみられる」と主張した。