「韓国は核武装をすると決意すれば早期に、さらには1年以内に核武装できる技術基盤を持っている」と述べた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の先月28日の米ハーバード大学での発言の信憑性について、論争が起きている。尹大統領の発言は、韓米核協議グループ(NCG)を新設する代わりに、韓国独自の核武装と米国の戦術核の国内への再配備を否定した「ワシントン宣言」の2日後になされた。
核拡散防止条約(NPT)脱退のような外交的困難はひとまず置くとして、尹大統領の発言のように韓国の「1年以内の核武装」が技術的に可能かどうかは、専門家の間で意見が分かれる。
ソウル大学原子核工学科のソ・ギュンニョル名誉教授らは、「韓国がその気になりさえすれば、6カ月以内に核兵器の起爆装置や弾道ミサイルなどの推進手段を備えた核武装が可能だ」と述べてきた。彼らは、スーパーコンピューターを用いたシミュレーションを実施すれば、実際に核実験する必要もないと語る。
これとは異なり、米国政府の同意がなければ核弾頭に用いるウランやプルトニウムの確保がそもそも難しいうえ、核武装に取り掛かっても技術的困難のため数年以上かかるとする主張もある。韓国が核兵器を開発するためには、まず高濃縮ウランの生産と使用済み核燃料の再処理を禁止する韓米原子力協定を改正しなければならないが、米国が応じる可能性は極めて低い。米国は核拡散に非常に否定的だ。
技術水準もまだ検証されていない。使用済み燃料から核兵器に使用するプルトニウムを大量に抽出するには大規模な再処理施設が必要だが、韓国は再処理に関する研究開発技術をある程度蓄積してはいるものの、実際に行った経験はない。国内各地の研究機関や学校などに散らばる核関連人材や設備などを集め、核開発専門の組織を作ることだけで6カ月以上かかるだろうとする分析も多い。韓国は起爆装置技術も弱いことが知られる。
ハンギョレ平和研究所のチョン・ウクシク所長は「韓国の核武装に関しては検証されていない主張が多い。核弾頭の研究・開発・製造施設を作るのにもかなりのコストと時間が必要だ」と語る。
一方、尹大統領の「1年以内に核武装可能」発言について、チョ・テヨン国家安保室長は、独自の核武装を念頭に置いた発言ではないと火消しにあたった。同氏は1日にYTNに出演し、「我々が核武装を技術的に行うことができるとしても、核武装をすることになれば政治外交的に、経済的にかなりのコストを支払うことになる」と述べた。