本文に移動

韓米、核戦力運用を常時協議…NATO水準に及ぶか

登録:2023-04-27 06:20 修正:2023-04-27 07:20
「ワシントン宣言」発表…核協議グループは
尹錫悦大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史、ジョー・バイデン米大統領と夫人のジル・バイデン女史が25日夕方(現地時間)、米ワシントンDCの朝鮮戦争参戦記念公園を訪れ、追悼の壁を通って参戦碑の方へ一緒に歩いている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓米首脳が26日に新設することで合意した「韓米核協議グループ」(Nuclear Consultative Group)は、北朝鮮の核の脅威に対応する拡大抑止の強化に関して、核共有を望む韓国政府とこれに否定的な米政府が折衝した結果だ。両国が核兵器の使用について議論する枠組みは設けたが、意思決定構造に根本的な変化はないとものとみられる。

 拡大抑止は、米国の同盟国が核攻撃を受ければ、米国が核兵器やミサイル防衛能力、通常兵器などを動員して報復するという概念だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこれまで、高まった北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するための方策として「韓米核戦力共同計画・共同演習」に言及し、「事実上、核共有に劣らない実効的な方策になるだろう」と述べた。同案は「韓国式核共有」と呼ばれた。

 韓米同盟の強化を掲げた尹錫悦政権は、北朝鮮の核・ミサイル実験など武力示威が続いたことを受け、米国に制度的な拡大抑止の強化を求めてきた。韓国政府は核兵器関連の情報を米政府と共有し、核兵器の計画と実行段階から参加しなければならないという態度だった。しかし、米国は韓国との「核共有」に否定的な態度を保ってきた。米国の核戦略上、米大統領は核兵器の使用に対する独占的かつ排他的かつ最終的な権限を持つ。今のところ、朝鮮半島有事の際、核兵器を使用するかどうかと関連し、米国側が韓国政府と協議する手続きと制度はない。

米国を国賓訪問した尹錫悦大統領とジョー・バイデン米大統領が25日(現地時間)、ワシントンDCのホワイトハウス官邸で開かれた親交行事で、韓米同盟70周年写真集に署名している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 このような状況で、韓米両国は核協議グループを作って「核協議を強化しよう」という程度で折衝を図った。韓米核協議グループは従来の両国の拡大抑止協議体より迅速かつ常時的な協議が可能であることが最大のメリットだ。制度化した拡大抑止への第一歩という意味もある。現在、両国の拡大抑止協議体は常時意思疎通を図るものではない。両国の外交・国防部次官や室局長級が参加する拡大抑止戦略協議体(EDSCG)は不定期開催が基本だったが、尹錫悦政権発足後、毎年開催することで合意した。国防部政策室長級が参加する抑止戦略委員会(DSC)も不定期チャンネルだ。

 韓米核協議グループにおける韓国政府の影響力が、米国と北大西洋条約機構(NATO)の核計画グループ(NPG)における欧州諸国の影響力より強いかは疑問だ。米国とNATOの核共有の代表的な象徴は、核計画グループを通じた「共同核計画」だ。共同核計画とは、核による脅威の状況を仮定し抑止策を共同で模索するとともに、いつ、いかなる状況で、いかなる方法で核と非核オプションを選び、稼働させるかを事前に準備することだ。NATOの国防相らが年に2回参加する核計画グループは、核兵器と関連した政治的統制、集団政策決定、核抑止・核政策・核態勢について論議する場であり、NATO共同核計画の中核機関だ。核計画グループにはNATO各国が派遣した核の専門家で構成された核計画理事会を含め、NATOに常駐する実務組織がある。すなわち、米国とNATO同盟国の間には核計画の議論が「常設制度化」されているわけだ。しかし、「韓米核協議グループ」には韓国が米国の核計画や核決定に参加できるチャンネルはない。NATO式核共有はベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコの5カ国に戦術核爆弾を配備しているが、韓国には戦術核配備を排除したのも大きな違いだ。ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安保補佐官など米高官たちは「韓国は核拡散防止条約(NPT)をしっかり守っている」と強調し、韓国の一部で提起されている「朝鮮半島への戦術核配備」や「独自核武装」の主張には否定的な立場を示している。

 世宗研究所のキム・ジョンソプ首席研究委員は、「常設の協議体を作ったというだけでは実質的な変化とは言えない。単に米国がレトリックのレベルで約束するのは象徴的な効果しかない」と指摘した。

 米国が韓米核協議グループに米国とNATOの核計画グループほど力を入れていない背景には、他の理由がある。米国は韓米日が共に拡大抑止協議体を構成した方が、北朝鮮の核・ミサイル脅威への対応においてより効果的だと判断しているという。今後、韓米核協議グループに日本が参加し、韓米日協議体が具体化した場合、韓米核協議グループは韓米日同盟へと進む中間段階の役割を果たす可能性もある。

 尹錫悦政権は北朝鮮の脅威に対応するため、拡大抑止の強化に重点を置き、対話の可能性を排除している。尹大統領は25日に公開されたNBCとのインタビューで、南北間の非核化交渉について「非現実的だ」と述べた。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1089557.html韓国語原文入力:2023-04-27 03:14
訳H.J

関連記事