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米国と「韓国式核共有」?…NATOの現実を見ると実効性は疑問

登録:2023-01-03 03:19 修正:2023-01-03 07:04
尹大統領、「韓米核戦力共同企画」提示 
米国との「核計画グループ」先例のNATO 
実際には事後評価など一部の過程のみに参画
尹錫悦大統領が元日、ソウル龍山の大統領室庁舎で合同参謀本部と陸・海・空・海兵隊の首脳部から準備態勢について報告を受け、彼らを激励している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が北朝鮮の核・ミサイルに対応するための方策として「韓米核戦力共同企画・共同演習」を提示したことで、その実現可能性に関心が高まっている。しかし、米国と北大西洋条約機構(NATO)による核共有の先例を勘案すれば、韓国と米国の核戦力共同企画・共同演習は実効性が低いものになりうるとする見通しが示されている。

 尹大統領は「朝鮮日報」が2日に報じたインタビューで、「韓米は米国の核戦力を『共同企画・共同演習』概念にもとづいて運用する方策を論議している」とし、「核兵器は米国のものだが、情報共有と計画、訓練は韓米が共同で行わなければならない。米国もかなり前向きな立場」だと述べた。核戦力共同企画と共同演習は、昨年11月に米国で行われた第54回韓米安保協議会議(SCM)でも合意されている内容だ。これについては「韓国式核共有」という解釈が登場しており、尹大統領も「事実上の核共有に劣らない実効的な方策となるだろう」との期待を示した。

 「韓米共同核企画」とは、平時の朝鮮半島が核の脅威にさらされた状況を仮定した抑止策を両国が共同で模索するとともに、危機発生時にいつ、どのような状況で、どのようなやり方で核および非核オプションを作動させるかを事前に準備するもの。「共同演習」は、米戦略司令部が立てた核作戦計画の運用演習に韓国軍が参加するというもの。共同企画と共同演習は情報共有、共同企画、危機協議、訓練などで構成される。

 韓国には現在、米国の核企画に参画したり、核に関する決定に参画したりしうるルートがほとんどない。核兵器使用に対する独占的で排他的で最終的な権限は米大統領のみが保有するという「専権(Sole Authority)」原則を米国が堅持しているためだ。にもかかわらず、尹大統領による核戦力の「共同企画-共同演習」発言をめぐっては、拡大抑止の内容の深化および制度化の契機となるだろうとの期待と、欧州の経験からみて大きな期待はできないという悲観が交錯している。NATO加盟国は「核企画グループ(NPG)」を通じて米国の核企画に参画するが、欧州の核企画の核心的な役割は米国の戦略司令部が担い、欧州諸国は欧州司令部が関与する作戦の統制や事後評価などの一部の過程にのみ参画するという。公式文書では「共同核企画」と表現されるが、欧州諸国の核企画への参画は非常に限定的だ。このため、NATOの核共有の現実は「所有・権限の共有」ではなく「責任と作戦リスクの共有」だとする評価もある。

 韓国軍の関係者は「欧州諸国が米国戦略司令部の担う分野に関与するためには、核兵器関連の様々な専門知識や経験が必要だ」とし「NATO加盟国は英国とフランスを除けば核の運用経験のない非核保有国であるため、米国の核企画において積極的な役割を果たすのは現実的に難しい」と述べた。この関係者はまた「米国と欧州との関係は韓米関係より歴史が深く堅固であるにもかかわらず、核共有は非常に限定的」だとし、韓米による核共同企画には慎重な見通しを示した。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1074121.html韓国語原文入力:2023-01-02 17:55
訳D.K

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