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「尹政権発足後、韓国のマスコミはますます恥ずかしい状況」言論団体が共同声明

登録:2023-04-07 10:25 修正:2023-04-07 11:12
7日、第67回「新聞の日」を迎え
キム・ウンヘ大統領室広報首席が6日、ソウル中区の韓国プレスセンターで開かれた第67回「新聞の日」記念大会に出席し、尹錫悦大統領の祝辞を代読している/聯合ニュース

 韓国で「新聞の日」を控えて、言論非常時局会議などメディア関連の市民団体が「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後、韓国のマスコミはますます恥ずかしい状況になっている」という内容の共同声明を出した。

 6日、言論非常時局会議(言論弾圧阻止と言論改革のための言論非常時局会議)、東亜闘委(東亜日報の自由言論を守る闘争委員会)、朝鮮闘委、80年解職ジャーナリスト協議会、言論広場、新言論フォーラムが、7日の「新聞の日」を控えて3次声明を発表した。彼らは声明で「尹錫悦政権の徹底的な手なずけで、マスコミの状況は言葉で言い表せないほど悪くなった」と指摘した。

 特に韓日首脳会談の報道に関して、市民団体は「先月16日の韓日首脳会談で尹錫悦政権が提示した日帝強制動員被害者問題解決策は反人権的だったが、朝鮮日報や中央日報、東亜日報をはじめ主要新聞は尹政権の措置を『未来に向けた大乗的決断』と糊塗した」と批判した。

 また「私たちは新聞の日を迎え、言論の自由を『言論社主の自由』『言論人の自由』と勘違いし、『社会の木鐸(ぼくたく)』や『塩』の役割を捨てたマスコミに対し自省を求める」と述べた。

 以下は声明の全文。

 尹錫悦政権発足後、マスコミはますます恥ずかしい状況になっています。

 今日は第67回「新聞の日」です。4月7日は最初のハングルの新聞である「独立新聞」が創刊された日で、この日を1957年に韓国新聞編集人協会が「新聞の日」に定めました。新聞の使命と責任を自覚するために、新聞団体が中心となって毎年記念行事を行っています。

 永遠のジャーナリストとして、今年の新聞の日を迎える私たちの心情は、これまでになく惨憺たるものです。マスコミに対する信頼がどん底であるため、市民たちは何かにつけて記者を「キレギ」・「キドギ」(それぞれ「記者とゴミ」、「記者とウジ虫」を合成した俗語)と嘲弄します。さらに、尹錫悦政権の徹底的な手なずけで、マスコミの状況は言葉で言い表せないほど悪くなりました。どん底かと思いきや、底まで割れて地の奥に限りなく墜落しています。

 韓国のマスコミの惨憺たる現実をまざまざと示す断面として、二つの事例を挙げます。韓日首脳会談の報道、そしてユン・ミヒャン議員関連の報道です。

 3月16日の韓日首脳会談で、尹錫悦政権は日本統治下の強制動員被害者問題の解決策を提示しました。いわゆる「第三者弁済」、日本の要求を100パーセント受け入れた、屈辱的で反民族的な内容です。さらに法と条約に関する限り最高の解釈権限と執行力を持つ最高裁判所の判決を、行政府が公に否定しました。違憲的であり、反民主主義的な措置です。

 何よりこの案は反人権的です。30年近く韓日両国で厳しい裁判闘争を通じて勝ち取った被害者の権利を、政府が保護するどころか踏みにじったからです。

 にもかかわらず、朝鮮日報、中央日報、東亜日報をはじめとする主要新聞は、尹政権のこうした措置を「未来に向けた大乗的決断」だとか「韓日新時代の幕開け」だと糊塗しました。反対する大多数の国民を「排他的民族主義と反日を叫びながら、政治的利益を得ようとする勢力」とレッテルを貼りました。先頭に立って批判すべき政府の強引な主張を、新聞が代弁したのです。客観的な事実さえ無視するこのような報道は「言論であることをあきらめた新聞」の姿と言わざるを得ません。

 ユン・ミヒャン議員に関する報道は、韓国マスコミの素顔を示しています。まさに検察の言葉の書き取りと、反省しない傲慢さです。

 進歩系・保守系を問わず、ほぼすべての新聞は検察など捜査機関が流す情報を最小限の検証もなしに書き取って報じました。人格殺害に他ならない報道で、性奴隷とされた女性たちのために生涯献身してきたユン議員を悪魔化しました。しかし、一審裁判でユン議員は事実上、検察が起訴したすべての疑惑に対して無罪を宣告されました。裁判所の今回の判決は、書き取りの悪習で「魔女狩り」式報道を繰り返してきた韓国マスコミに対する有罪宣告とも言えます。しかし、判決とは異なるこのような報道に対し、人権を重視するという進歩メディアを含め、謝罪や反省を載せた新聞はただの一つもありませんでした。「ニューヨークタイムズ」や「朝日新聞」のような海外の権威あるメディアなら違ったことでしょう。誤報を振り返り反省する検証報道とともに、関係者を厳しく問責したはずです。

 私たちは新聞の日を迎え、言論の自由を「言論社主の自由」「言論人の自由」と勘違いし、「社会の木鐸」や「塩」の役割を捨てたマスコミに対し、一同に自省を求めます。地に落ちたマスコミの信頼回復のために、緊急に次の措置を取ることを強く求めます。

 1.大統領室や検察など権力機関の発表を匿名で書き取る報道を直ちにやめよ。

 2.書き取りの弊害が深刻な検察記者室を閉鎖し、法曹記者団を解体せよ。

 3.誤った報道に対して徹底した事後検証および再発防止対策を立てよ。

 4.社主や権力・資本と一体になって既得権層の利害を一方的に代弁する反民族・反庶民・反民主的な報道を直ちに是正せよ。

ユン・ヨンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1086846.html韓国語原文入力:2023-04-06 18:35
訳C.M

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