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国益を名目に「韓日軍事協力」拡大の糸口…中国けん制戦略への編入の懸念

登録:2023-03-17 04:53 修正:2023-03-27 07:22
尹大統領、首脳会談で「GSOMIA完全正常化」宣言
1泊2日の日程で日本を訪問した尹錫悦大統領が16日午後、東京の首相官邸で岸田文雄首相との韓日首脳会談を終えた後、共同記者会見を行っている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は16日、日本の岸田文雄首相との韓日首脳会談で「北朝鮮による核ミサイルの発射と飛翔経路に関する情報を両国が共有して対応」することに役立つ国益レベルの決定として、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の「完全正常化」を宣言した。韓日GSOMIAは、北朝鮮の核とミサイルへの対応だけでなく中国をけん制する手段だったことから、尹錫悦政権が強調する韓米日安全保障協力が、米国のインド太平洋戦略の実行手段になるという懸念が強まっている。

 両国首脳は、東京の首相官邸での会談後に共同記者会見を行い、「日増しに高度化されている北朝鮮の核とミサイルの脅威に対応するためには、韓米日および韓日の共助は大変重要であり、今後、積極的に協力することで意見が一致した」と明らかにした。尹大統領は、今回の首脳会談の結果で得た具体的な国益の事例の一つとして、「さきほどの首脳会談で、GSOMIAの完全正常化を宣言した」と紹介した。

 先に文在寅(ムン・ジェイン)政権は、日本の輸出規制に対抗し、2019年8月にGSOMIA終了を日本に通知したが、米国の圧力のため、2019年11月に終了通知の効力を停止した。その後、両国は必要な情報交流を行いはしたが、GSOMIAの法的地位は不安定な状態にあった。朴槿恵(パク・クネ)政権時の2016年11月に締結された韓日GSOMIAは、軍事情報の伝達・保管・破棄・複製・公開などに関する手続きを定めている。大統領室高官はこの日、「(GSOMIAは)形式的な側面で不明瞭な状態にあるが、終了通知をしたことを(韓国側から)撤回するということ」だとしたうえで、「きちんと安全保障で協力していこうということ」だと説明した。

 尹錫悦政権は、「GSOMIA正常化」は韓国と日本がウィンウィンとなる国益だと主張している。北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、上昇段階の情報は韓国が、落下地点の情報は日本が探知するのが有利であるため、北朝鮮のミサイルの飛翔経路情報を相互交換すれば、軍事対応の実効性を高められるということだ。尹錫悦政権は韓日GSOMIAを韓米日の安全保障協力体制の象徴であり、韓米同盟と米日同盟の隙間を埋める軍事的な連結点と認識し、最終的には強制動員解決策の提示を介して韓日関係の改善を試み、これを復活させた。

 これにより、韓日間の軍事協力の拡大の道が開けたという評価が出ている。両国は、「GSOMIA正常化」以降、北朝鮮のミサイル警報のリアルタイム共有、物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に乗りだす可能性があるためだ。米国は、韓国と日本のGSOMIAを北朝鮮のミサイル発射の監視だけでなく、中国とロシアの軍事動向の把握にも活用してきた。ACSAは、韓国軍と日本の自衛隊が有事の際に弾薬や燃料、兵器の部品などをやりとりできるようにする内容だ。もし日本の自衛隊の輸送機と艦艇が弾薬や燃料などを載せて、韓国の港や空港に入ってくる場合、日本の自衛隊の朝鮮半島進出を許容することになる。尹錫悦政権が韓米日の安全保障協力のスピードと幅を調節しなければ、日本の軍事大国化を促進し、米国の中国封鎖の戦略に引き込まれることになるという懸念は避けられないものとみられる。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1083983.html韓国語原文入力:2023-03-17 02:43
訳M.S

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