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輸出規制の解除も「日本の思い通り」に…次はGSOMIAの再開か

登録:2023-03-07 06:14 修正:2023-03-20 07:41
韓国政府、日本の輸出規制をめぐるWTO紛争手続き中断 
日本側の規制解除より先に決定 
「敗訴危機の日本、むしろ韓国政府に救われた」
韓国政府が日帝強占期強制動員被害者に対する賠償基金を国内企業単独で拠出する「第三者併存的債務引受」案を公式発表した6日午前、ソウル都染洞の外交部前で「韓日歴史正義平和行動」の関係者らが緊急抗議行動を開いている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の産業通商資源部は、日本の輸出規制が解除される前に世界貿易機関(WTO)紛争解決手続きを中断すると発表した。韓国政府が日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者賠償基金を国内企業の拠出だけで作る案を示したのに続き、輸出規制の解決策までも前後が逆転した形になり、「屈辱的」という批判の声があがっている。日本による韓国の最高裁(大法院)判決への介入を容認した先例になるという指摘もある。

 産業通商資源部のカン・ガムチャン貿易安全保障政策官は6日、政府世宗(セジョン)庁舎で、韓日輸出規制の懸案に関する記者会見を開き、「両国政府は輸出規制に関する韓日間の懸案事項について、両側が2019年7月以前の状態に戻すため、2国間の関連協議を速やかに行っていくことにした」として、このように明らかにした。さらに「日本政府はこのため、韓日間の輸出管理政策に関する対話を近日中に開催することにした」と伝えた。

 2018年10月に韓国最高裁が日本の被告企業に対し強制徴用被害者への賠償を命じる確定判決を言い渡したことを受け、日本は2019年7月、フッ化水素、フッ化ポリイミド、フォトレジストなど半導体生産に欠かせない3つの材料の韓国への輸出を制限した。同年8月には輸出手続き簡素化の恩恵を与えるホワイト国(現在、グループA)から韓国を除外した。これに対し、韓国政府は同年9月、WTOに日本を提訴した。このような状況、政府は日本の輸出規制措置が解除されていないにもかかわらず、先に紛争手続きを中断した。日本の輸出規制の解除はまだ日程も決まっていない。

 (政府の一連の措置に対し)加害者が被害回復に向けた措置を取っていないにもかかわらず先に許すようなものだという批判の声があがっている。輸出規制の解除が急がれるわけでもなく、それに伴う利益が大きいわけでもないうえに、再発防止対策も明確ではないという指摘もある。大邱大学のキム・ヤンヒ教授(経済金融学)は「日本は韓国最高裁の判決に対する経済報復ではないと主張したが、(その発言自体が報復措置であることを)自ら認めた格好だった」とし、「にもかかわらず、韓国政府は本末転倒の全面降伏の形で国民に屈辱感を与えている」と述べた。

 政府は「撤回ではなく暫定中断であり、日本が先に(輸出規制措置を)撤回すれば同じく(提訴を)撤回する計画」だと説明した。カン政策官は、「(韓日間の対話)日程を予想するのは難しい」とし、「早く進めていきたい」と述べた。また、「(輸出規制)以前に戻る状況になっておらず、あえてそうする必要もない。半導体材料の国内供給は安定的に行われている」とし、「材料・部品・装備100大品目の対日輸入依存度が大幅に低下したが、輸出規制の解除を通じて企業の不確実性が解消されると期待している」と明らかにした。昨年2月、政府はフッ化水素の輸入額が急激に減るなど、日本の輸出規制3大品目の需給に支障はなく、日本への依存度が大幅に下がったと発表した。

 政府は再発防止対策が明確ではないという指摘に対しては「これまで輸入国の多角化と外国企業の投資誘致を多く行ってきた」とし、「日本が再び輸出規制に乗り出すとは思わない」と答えた。その変わり、安全保障の観点を掲げた。カン政策官は「国際安全保障の観点からサプライチェーンが重要になった」とし、「韓日間の経済的、産業的協力関係を未来志向的なものにしていくべきという点で(両国が)共感している」と説明した。

 しかし、国際通商専門家のソン・ギホ弁護士は「日本は半導体材料の輸出規制が安全保障において必要であるという点を立証できず、WTOで敗訴の危機を迎えていたのに、むしろ韓国政府に救われた格好」だとし、「安全保障を口実に国際分業をかき乱した日本に免罪符を与えるもので、『多者主義』に基づく韓国経済戦略に反する行動」だと指摘した。さらに「日本が韓国最高裁の判決に不当に介入したことを容認した先例になるだろう」と付け加えた。

 日本の半導体素材輸出規制の解除に合わせて、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も正常化されるとみられている。GSOMIAは現在「終了通知の効力停止」という不安定な状態にある。韓日は今月中に開催される見通しの尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相の首脳会談で、輸出規制の解除とGSOMIAの正常化を「シャトル外交」復元の成果として示す構想だという。

イ・ジョンフン、キ・ミンド記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1082399.html韓国語原文入力:2023-03-07 02:44
訳H.J

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