尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が15日付で報じられた読売新聞のインタビューで、1965年の韓日請求権協定と2018年の韓国最高裁(大法院)の強制動員被害者賠償判決の間に「矛盾したり食い違ったりする部分(があっても、調和するようにするのが政府の役割)」だとし、日本側の論理をそのまま繰り返した。これは司法府の最終判断を否定する発言であるとともに、行政行為で司法府の決定を覆すことができるという論理であり、「三権分立」という憲法価値に正面から反する。
2018年10月30日、最高裁の全員合議体は確定判決で、日帝による朝鮮半島の植民地支配は憲法前文が規定した「3・1独立運動で建設された大韓民国臨時政府の法統」に照らせば不法な強制占領であり▽強制動員は不法強占と侵略戦争遂行に直結した反人道的不法行為であり▽韓日両国間の財政的・民事的債権・債務関係解決のために締結された請求権協定の適用対象ではなく▽したがって加害戦犯企業(三菱重工業、日本製鉄)は被害者に賠償しなければならないと明らかにした。
慶北大学法学専門大学院のキム・チャンノク教授は「条約と法令に対する最終解釈の権限は最高裁にある」として「国会が新しい国民的合意を形成して立法した場合でない限り、行政府が行政行為によってこれを覆すことは明らかに憲法的価値に反する」と述べた。
これまで日本側は、植民地支配は不法ではなく▽強制動員は存在せず▽請求権協定ですべての賠償問題が解消されたため▽韓国最高裁の判決は国際法違反だと主張してきた。韓国政府が日本側の謝罪と賠償参加のない「強制徴用最高裁判決に関する政府の立場」(第三者弁済)を6日に発表した直後、「白旗投降」という批判があふれたのも、このような日本側の主張が全て貫徹されたためだ。
「第三者弁済案」のまた別の問題は、すでに最高裁が確定判決を下した訴訟の他に、現在係争中の訴訟に対しても今後確定判決が出れば同じ方式を適用すると明らかにした点だ。司法府の最終判断が下される前に行政府がこれを覆すと予告したわけで、「司法府の権限侵害」という違憲的行動を繰り返し、継続するという話に他ならない。
尹大統領はまた、「第三者弁済案」に対する日本側の疑念を払拭しようとするかのように、日本の被告企業に対する求償権行使の可能性を排除し、「心配に及ばない」と読売新聞に語った。民法上、求償権行使の時効は10年であり、尹大統領の退任後に再び争点になる可能性があるにもかかわらず、日本をなだめるために強引な論を展開したとみられる。2015年に拙速に推進された「慰安婦合意」当時、問題になった「最終的かつ不可逆的な解決」という文言を思い出させる。
大統領室からは日本側に傾倒した主張が繰り返されてきた。大統領室の高位関係者は6日、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が下した結論も、結局は1965年に政府がすべての国民への賠償責任を負うことにしたということ」と述べた。しかし、盧武鉉政権時代の2005年に活動した官民委員会は、最高裁の確定判決と同様に強制動員被害者の損害賠償請求権は消滅していないと判断した。当時委員会に所属していたチョン・ジョンフン神父は、本紙との通話で「当時の議論の基本は日本の謝罪と賠償を受けなければならないということだった」と話した。匿名を求めた別の委員は「日本の賠償責任をこれで完全に終結させるとか、そのような話は一切していない」と話した。