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12年前に福島第一原発が爆発した日…「老朽化した原発を延長するな」韓国で集会

登録:2023-03-13 02:49 修正:2023-03-13 07:33
原発賛成の対抗集会では「原発反対はアカ」
福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会で参加者たちがスローガンを叫んでいる=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 「老朽化した核発電所は稼働延長ぜず、直ちに閉鎖せよ」、「核廃棄物の臨時貯蔵施設反対」

 福島第一原発事故から12年を迎えた11日午後2時。釜山市釜山鎮区(プサンジング)の宋象賢(ソン・サンヒョン)広場に集まった3000人あまりの脱核集会の参加者は、「原発密集度が世界最大の韓国では、旧ソ連のチェルノブイリ(現ウクライナ)、福島第一原発に続き、大規模な原発事故がいつ起こるか分からない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は原発拡大政策を撤回せよ」と叫んだ。

 この日の集会は「福島原発事故12年脱核行進準備委員会」と「釜山古里(コリ)2号機寿命延長・核廃棄場反対汎市民運動本部」が共催した。参加者たちは「核のない安全な国を作ろう」として大邱(テグ)、光州(クァンジュ)、済州(チェジュ)、蔚山(ウルサン)など全国各地から京釜高速鉄道や飛行機などに乗って釜山に駆けつけた。

福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会で参加者たちがスローガンを叫んでいる=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 参加者を代表して連帯のあいさつが行われた。核のない世界光州全南行動の小原つなき教育広報チーム長は「日本政府は福島第一原発の132万トンもの汚染水を30~40年かけて海に放出すると決めた。日本と韓国の市民の命を担保として、コストが最も安い海洋放出を選択した日本と東京電力は恥を知るべきだ」と述べた。

 気候危機非常行動のミン・ジョンヒ元運営委員長は「より多くの市民に伝え、共に行動し、共にこのような現場に来なければならないと思う。今、100万人署名運動を進めているが、1000万人にならなければ(尹錫悦政権の原発推進政策は)変えられないのではないか。核を脱する世界になるように連帯し、支持し、応援する」と述べた。釜山古里2号機寿命延長・核廃棄場反対汎市民運動本部のオ・ムンボム共同代表(釜山YMCA事務総長)も「脱核運動は我々だけではできない。共に連帯し、協力し、伝える道だけが、老朽化原発を閉鎖し核貯蔵施設を止めることができる」と述べた。

福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会を終えた参加者たちがデモ行進している=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 仏教環境連帯のユ・ジョンギル運営委員長、民主労総蔚山地域本部のキム・ユンミ首席副本部長、核のない世界のための大邱市民行動のキム・ミンジョ事務局長、エネルギー正義行動のイ・ヨンギョン事務局長が、参加者に代わって宣言文を朗読した。

 彼らは宣言文で、「韓国は廃炉手続きに入った2基の原発を除いても、実に25基もの原発を運営する原発密集度が世界最大の国だ。そこに新規原発の建設と老朽原発の稼働延長、臨時核廃棄場の建設が加われば、安全な社会はさらに遠のく。今の誤った決定がもたらす危険と不正義は、将来誰が責任を取るのか」と述べた。

 また、「政府は原発を中断なく稼動させるため、各原発の立地地域に臨時核廃棄場を建設する計画を立てている。霊光(ヨングァン)原発は2030年に、古里原発は2032年に臨時貯蔵施設が飽和するという政府の予測にもとづいて、核廃棄物を保管する臨時貯蔵施設を建設するという。安全の担保もできないだけでなく、一方的に原発の立地地域に核廃棄物の責任まで押し付けようとする無責任な政策だ」と付け加えた。

福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会を終えた参加者たちがデモ行進している=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 集会を終えた参加者たちは、午後3時15分から釜山の代表的な繁華街である釜山鎮区西面(ソミョン)のクムガン製靴前までの1.3キロの道のりをデモ行進した。事前に集会を許可していた警察は、1車線を集会主催者に明け渡した。デモ行進は車の流れに大きな支障は招かず、平和に行われた。

 参加者たちは核反対の文言を記した横断幕、プラカード、傘などを手にして、プンムルペ(農楽隊)を先頭に列を作り宋象賢広場から出発した。続いて警察の案内に従って、西面方向へと向かって中央大路に入った。中央大路の歩道と接する3~4車線を歩きながら「古里原発2号機を直ちに閉鎖せよ」「核廃棄物貯蔵施設反対」「福島第一原発の放射能汚染水放出反対」などのスローガンを叫んだ。一部の市民がデモ参加者たちに向かって「アカども」と非難したことに対して、怒った参加者たちが「謝れ」と言ったことで口論になったが、警察の制止で衝突には至らなかった。

 クォン・ソニョンさん(42、釜山)は「脱核について伝え、大人たちが子どもたちのために努力していることを示すために、小学校5年生の娘を連れてここに来た。今は娘はよく理解できないだろうが、20歳になれば分かるはずだと話した」と語った。Mさん(48、大邱)は「事故が起きれば、核を運用して得る経済的利益よりも大きな経済的損失を被るということを釜山市民に知ってもらうために、知人たちと釜山に来た」と話した。参加者たちは午後4時15分ごろに西面のクムガン製靴に到着し、後段集会を行って解散した。

福島第一原発事故から12年目を迎えた11日午後、釜山市釜山鎮区の宋象賢広場で行われた原発反対全国集会を終えた参加者たちがデモ行進している=キム・グァンス記者//ハンギョレ新聞社

 一方、この日、脱核団体の原発反対集会が行われた宋象賢広場の向かい側では、韓国原子力国民連帯などの原発賛成団体が対抗集会を行った。100人前後と見られる参加者の大半は70~80代の高齢者だった。参加者たちは「原発ほど安全で経済的なエネルギーはない。古里原発2号機を延長稼動せよ」と述べた。一部の発言者は「原発に反対する奴らはアカだ」と述べ、露骨に非難していた。

キム・グァンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/1083177.html韓国語原文入力:2023-03-12 11:06
訳D.K

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