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日本、福島原発惨事忘れたのか…「原発を新たに建設し、寿命も延ばす」

登録:2022-12-24 01:37 修正:2022-12-24 07:45
「脱炭素促進・電力安定供給のために原発が必要」
福島第一原発敷地タンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 日本政府が原発を新たに建設し、最長60年と定められた寿命も延ばす方向に原発政策の枠組みを変えることにした。脱炭素とウクライナ戦争によるエネルギー危機を名分に、2011年の3・11福島原発惨事以降維持してきた「社会的合意」を廃棄しようとしている。

 岸田文雄首相は22日、東京の首相官邸で関係省庁と専門家たちが参加した中、脱炭素社会実現のための「グリーントランスフォーメーション」(GX)実行会議を開き、このような内容を骨子とする「GX実現に向けた基本方針(案)」を決めた。岸田首相の検討指示からから約4カ月で下された決定だ。日本政府は来年、関連法案を国会に提出する。

 日本政府は基本方針で、原子力について「電力の安定供給と(2050年の)カーボンニュートラル実現の両立に向け、脱炭素のベースロード電源としての重要な役割を担う。将来にわたって持続的に活用していく」と明示した。このため、大きく二つが変わる。

 一つ目は原発の新規建設だ。日本政府は原子炉より安全性を高めた「次世代革新炉」と呼ばれる改良型原発を開発・建設していくことにした。このため、廃炉が決まった原発を再建築の形で活用する。その他の地域では原発再稼働状況や地域世論などを考慮して新増設を検討する。日本政府はこれまで原発の新増設、再建築について「計画していない」という立場を維持してきた。

 二つ目は「最長60年」の原発の寿命を延ばすことだ。これにはトリックがある。これまでは「60年」を計算する時、安全審査などによる停止期間も含まれていたが、これが除かれる。朝日新聞はこれにより「再稼働に必要な原子力規制委員会の審査期間などで10年間停止した場合、運転開始から70年まで運転できるようになる。事故後の原発規制の柱としてきたルールが形骸化するおそれがある」と懸念を示した。日本政府は福島原発惨事後の2012年、原発の運転期間として40年を原則とするが、原子力規制委員会の許可を受ければ最大60年まで稼動できるようにした。

 日本政府は全体エネルギー生産で原発が占める割合を現在の約6%から2030年には20~22%に引き上げるという「エネルギー基本計画」の内容は維持すると明らかにした。原発の割合を高めるためにも、新増設や寿命延長などが必要だという説明だ。

 現在、日本国内の原子炉は計33基で、このうち10基が再稼働中だ。日本政府は原発の割合を20~22%に引き上げるためには、約30基程度を稼動しなければならないとみている。ひとまず来夏以降7基を追加で稼働させることを目指している。

岸田文雄首相は22日、東京首相官邸で関係省庁と専門家らが出席した中、脱炭素社会の実現に向けた「グリーントランスフォーメーション」(GX)実用会議を開き、原発政策の基本方針を決めた=首相官邸ホームページより//ハンギョレ新聞社

 問題は33基のうち半分の17基が稼動開始から30年を、4基は40年を超えたという点だ。NHKは「2030年代から設備容量が減り始め、2040年代からは大幅に減少していくだろう」と見通した。結局、従来の原発の寿命を延ばすか、新たに建設するしかない。

 日本国内では反発の声があがっている。朝日新聞は、政府が目前の電気料金の上昇や電力不足を強調し、わずか4カ月で結論を下したとし、「天文学的な建設費用、核廃棄物施設など原発をめぐる課題や議論が多いだけに、国民の意見を聞くことが先だ」と強調した。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1072917.html韓国語原文入力:2022-12-23 22:06
訳H.J

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