韓国政府が最近「第三者弁済」による日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害問題の解決策を発表したことに対し、韓国国民の10人中6人が反対するという世論調査結果が10日に発表された。国民的批判世論が高まる中、先手を打って強制動員解決策を発表することで、16日の「韓日首脳会談」につなげ、硬直した韓日関係の改善に乗り出すという尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の対日外交政策が試験台に上がった。
韓国ギャラップが8~9日、全国の成人1002人を対象に調査した結果(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)、韓国の財団が日本の加害企業(三菱重工業・日本製鉄)の賠償金を肩代わりする「第三者弁済案」を政府が示したことに対し、回答者の59%が「日本の謝罪と賠償がないため反対する」と答えた。一方、「韓日関係と国益のために賛成する」という意見は35%にとどまった。
「もし日本の加害企業が未来世代を対象に寄付するなら、賠償とみなすか」という質問にも「賠償とはみなせない」という回答(64%)が「賠償とみなす」という回答(27%)の倍以上だった。
韓日関係の方向についても、回答者の64%は「日本の態度変化がなければ急いで改善する必要はない」と答えた。これも「韓国が一部譲歩しても、できるだけ早く改善すべき」という意見(31%)より2倍以上高い数値だ。
政府の強制動員被害者への賠償案に対する国民の否定的世論は、尹大統領の支持率にも影響を及ぼした。「尹大統領の国政遂行を評価する」という意見は1週間前より2ポイント下がった34%だった。一方、評価しないという意見は3ポイント上がった58%を記録した。「評価しない」と答えた回答者は「日本との関係、強制動員賠償問題」(16%)と「外交」(13%)を主な理由に挙げた。
否定的な世論が高まり、来週の韓日首脳会談のために1泊2日の日程で日本を訪問する尹大統領の政治的負担はさらに大きくなるものとみられる。尹大統領が今回の訪日期間中に日本政府の歴史問題に対する謝罪表明や日本企業の賠償参加など「誠意ある呼応」を引き出せなかった場合、「先手を打って」強制動員の解決策を発表したことが、かえって逆風となる可能性もある。
しかし、日本政府と被告企業側がどれほど誠意ある呼応を見せるかは不透明だ。韓国外交部の高官は同日、ソウル中区のプレスセンターで外信記者団に対し、日帝強制動員被害者支援財団の基金作りと関連して「今すぐ短期間で被告企業の寄与があるとは予想していない」と述べた。同高官は「ただし、(日本の被告企業が財団に参加するための)扉は開いており、日本政府も民間企業の寄付には反対しない立場を示した」とし、「韓日関係の進展に伴い、開いている扉を通じて寄与できる可能性は閉ざしていないため、長期的な期待と理解していただければと思う」と付け加えた。
大統領室側でも「未来志向的」な観点からみるべきだという立場を強調している。大統領室関係者は「(韓日関係の改善は)国益がかかっている問題であり、世論によって決められる問題ではない」とし、「被害者と国民を説得するため、さらなる努力を傾ける」と述べた。