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ウクライナ事態に関してロシア側に立つ北朝鮮、「中ロ等距離外交」本格化か

登録:2023-01-30 09:01 修正:2023-01-30 10:59
北朝鮮の朝鮮労働党中央委のキム・ヨジョン副部長が2019年3月2日、ベトナム・ハノイのホーチミン記念館で開かれた献花行事に参加している=ハノイ/AP・聯合ニュース

 米国の主張する「ロシアへの兵器支援説」に反論しウクライナ戦争の状況で「中立」の立場を示す中国とは異なり、北朝鮮がロシアに傾斜する姿勢を明らかにした。米国・韓国との対決局面が続く状況で、ロシアとの関係を発展させ、中ロとの「等距離外交」を本格化しているという分析が出ている。

 北朝鮮は29日、「朝鮮中央通信」を通じて発表したクォン・ジョングン外務省米国担当局長名義の談話で、「米国がロシアの正当な安全利益を侵害し、NATO(北大西洋条約機構)の東進を段階的に推進していなかったら、現在のようなウクライナ事態は起きなかっただろう」とし、「誰かの『挑発』に備えて『拡大抑止力』を提供するという看板のもと、朝鮮半島に核打撃手段を頻繁に引き込んでいる非論理的で奇形で強盗のような米国式の思考の延長であり、荒唐無稽な詭弁だ」と主張した。

 さらにクォン局長は、「米国は再び根拠のない『朝ロ兵器取引説』を持ち出し、ウクライナに対する彼らの兵器提供を正当化しようと愚かにも試みた」とし、「国際社会の正当な憂慮と非難を無視し、主力戦車のような攻撃用武装装備をウクライナに送り込む米国の処置は、不安定な国際情勢を持続させようとする反人倫的犯罪行為」だと主張した。

 米国が戦車「M1エイブラムス」をウクライナに支援すると明らかにした直後の27日夜には、朝鮮労働党中央委のキム・ヨジョン副部長が談話を発表した。キム副部長は「欧州大陸全体を厳重な戦争危機にさらし、大小の憂慮を生んできた米国の策動が、いまやさらに危険な境界線を越えている」とし「ロシアを破滅させるための代理戦争をさらに拡大し、彼らの覇権的目的を達成しようとする米国の凶悪な本心が基礎となっている」と非難した。

 特にキム副部長は、「ロシアの安全憂慮を全面的に無視してウクライナに天文学的な金額の軍事装備を渡し、世界の平和と地域の安全を破壊している米国と西側諸国は、主権国家の自衛権に対して是非を問う資格やいかなる名分もない」とし「我々は国家の尊厳と名誉、国の自主権と安全を守るための戦いに出たロシア軍隊と人民とともに、常に同じ塹壕に立っている」と強調した。

 元外交・安保当局者は「北朝鮮が、中国に対しても滅多に使わない『同じ塹壕にいる』という表現を対ロシア関係で異例に使ったことは非常に象徴的だ」とし「韓国および米国との関係を断ち切り、中国・ロシア・ベトナムなどいわゆる社会主義兄弟国との協力を強化して自力更生を図るという第8回党大会(2021年1月)以降の基調をより明確にしたことになる」と指摘した。

 そもそも北朝鮮はウクライナ戦争勃発直後からこのような立場を明確にしてきた。ロシアの侵攻直後である昨年3月2日、国連総会でロシア糾弾決議案が上程された際に、中国やキューバをはじめとするロシアの伝統的友好国が棄権した時も、北朝鮮はロシアを含め反対票を投じた5カ国のうちの1つだった。

 北韓大学院大学のク・ガブ教授は、「中国は国連の対北朝鮮制裁をある程度履行している。一方で、ロシアは北朝鮮と同じように国際社会の制裁を受ける立場」だとし「北朝鮮はウクライナ戦争以前から朝ロ鉄道連結を通じて制裁迂回を試みてきている。また、戦争後にはドンバス地域へ労働者を派遣し外貨稼ぎをするためにも、ロシアを支持する理由が十分にある」と話した。

 さらに「北朝鮮の立場としては『安全保障』だけを信じて1994年に非核化に合意したウクライナの現実から教訓を得た可能性がある」とし「ロシアに対する明示的な支持表明は、名目ではあるが国連安保理の対北朝鮮制裁を履行している中国に対する『警告』でありうるという点で、北朝鮮が対外交渉の局面で韓米が抜けた対象をロシアで埋め、1960年代以来再び『中・ロ等距離外交』を試みているとも考えられる」と述べた。

チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1077423.html韓国語原文入力:2023-01-30 08:18
訳C.M

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