貨物連帯のイ・ボンジュ委員長が安全運賃制の延長などを求めて無期限ハンガーストライキに入った翌日の13日午前、ソウルの空は粒子状物質(PM2.5)が「非常に悪い」状態という警報を想起させるかのように、視界が悪かった。4日前、公共運輸サービス労組貨物連帯本部が組合員の総投票で16日間にわたるストライキを特別な成果なしに終えた後に直面した未来よりも、さらに曇って見えた。
この日、汝矣島(ヨイド)の貨物連帯の座り込み場で会ったイ委員長は、前日にウォン・ヒリョン国土交通部長官が貨物運送市場の構造改革案をまず議論してから、安全運賃制を継続するかどうかを話し合うと発言したことについて、「新年から安全運賃制が廃止されれば、大手の荷主は運送費のダンピングに入るだろうし、運送会社は混乱に陥るだろう」とし、「事業所ごとに再び闘争が激しくなれば、結局政府が矢面に立つことになるだろう」と述べた。
―ハンガーストライキをする理由は何か。
「安全運賃制度そのものがなくなるかもしれない状況で、安全運賃制を延長し、国会に品目拡大に向けて議論する機関を作るよう求めるためだ。ストライキから復帰した後も、政府は組合員を告訴・告発するなど弾圧している。それらに対する抗議も兼ねている」
―今回の2次ストライキに対する政府の態度は非常に強硬だった。結局、安全運賃制の延長や品目拡大の約束を取り付けることもなく、中止に追い込まれて悔いが残るのでは。
「政府の弾圧は私たちの予想をはるかに超えていた。全省庁と与党まで一丸となって弾圧に乗り出した。貨物連帯をまるでこの世からなくすべき主敵であるかのように扱った。政府は資本側の利害に従いすぎた。その状況で私たちは最善を尽くしたが、これ以上こんなふうに闘うことに意味があるのかと悩まざるを得なかった。忸怩たる思いだ」
―今回の2次ストライキは失敗したと判断するのか。
「私はそうは思わない。組合員たちはよく闘った。国民に国が何をすべきかを知らせたと思う。安全運賃制についても知ってもらえた。多くのメディアは同調しなかったが、貨物労働者が劣悪な境遇にあることも、今回のストライキを通じて知られたと思う。しかし、要求が受け入れられなかったのは、失敗と言えば失敗だ。組合員たちは立派に闘ったが、指導部はある意味で失敗した」
イ委員長は、貨物連帯が政府の強硬な対応を予想できなかったなど戦略を誤ったのではないかという指摘に対しては、語気を強めて反論した。イ委員長は「約束を守らない政府に追い込まれて、闘争に踏み切るしかなかった」とし、「好き好んで闘いを選ぶ人なんていない」と語った。
今年6月、5回にわたる交渉の末、政府が安全運賃制の持続と品目拡大について引き続き協議することを約束したからこそ1次ストライキを中止したのに、その後、政府と国会が関連協議を進めようとせず、サンセット制の期限が目前に迫ったため、やむを得ず2次ストライキに出るしかなかったという説明だ。
―政府が貨物連帯を労働組合法上の労組として認めない状況で、貨物連帯の選択肢はあまり多くなかったと思われる。
「6月に全面ストを終えてから2カ月も経たないうちに、安全運賃制に反対する貿易協会のイ・グァンソプ常勤副会長が大統領室国政企画首席になった。決まった手順だ。政府は協議するという約束を破り続けた。そして業務開始命令まで出して私たちに復帰を迫った。結局、恥辱の復帰をしたが、その後も再び前言を撤回している。私たちが復帰賛否投票に入ると政府は『原点に戻す』と言った。原点は追加議論を約束した6月14日でなければならない。合意文の内容はまだ生きている」
―今回のストライキの過程で、ウォン・ヒリョン長官はソーシャルメディアを通じて貨物車主の中には数億の車を数台持った人々もいるとし、「貴族労組」論を展開した。
「そんなに高価な車を何台も持っている人がいるなら、運送会社を立ち上げた方が良いだろう。貨物連帯は最初から1人1車主を目指してきた。組合員たちは車を2台以上持っている人たちは資本家と見なして、(仲間として)認めない。以前、車を買う時、3人が互いに連帯保証をし、そのうち1人が分割払い料を払えず、他の人が引き受けたケースはあった。分割払いが終わるまで他の運転手を雇用してやっと運営する場合はあるが、ごく少数だ」
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの日も貨物連帯ストライキに対して「ストライキ期間中に発生した違法行為については、最後まで責任を問わなければならない」として頑強な態度を崩さなかった。イ委員長は政府が強攻を続けている状況について、「もどかしい」しながらも「組合員さえ団結すれば今の状況を早く収拾し、また一歩前進できるだろう」と語った。
―今回のストライキが成果なく終わり、組合員が離脱したり組織が動揺したりはしないのか。
「組合員たちはよく耐えている。今、一部の精油会社で貨物連帯の脱退を強要する事態が起きている。むやみに貨物連帯を刺激しないよう警告する。闘いが好きな人なんていないだろう」
―6月のストライキ以降、最も残念なことは。
「与党『国民の力』には国民が存在せず、野党『共に民主党』には民主がなかった。与野党の政争が続き、本当の国民に必要な法案はすべて先送りされた。政府は大手荷主会社の言いなりになり、与党は政府の言いなりになり、民主党はそれに切り込む勇気がなかったようだ。とてもがっかりしたし、残念だ。貨物連帯の全面ストは、常に法を変える闘争だった。法を変えなければ貨物労働者の暮らしが変わらないからだ。私たちの闘いには政治の介入が不可欠だ」
イ委員長は、今回のハンガーストライキを機に、まず政府に安全運賃制継続の約束を守らせると同時に、再び組織を再整備する考えだと話した。また、国民の力と民主党に向けて安全運賃制の持続を求める闘いも続ける計画だ。できる限りのすべての努力を尽くしたにもかかわらず安全運賃制が廃止されれば、「きっぱりと(敗北を)認めて新しく始める」と話した。貨物連帯のストライキに向けられた厳しい視線に対して、イ委員長は市民の理解を呼びかけた。
「2次ストライキは政府に約束の履行を求める闘争であり、道路上で死にたくないという、私たちをセーフティネットに入れてほしいという貨物労働者の叫びだった。少しでも安定した所得が得られない限り、月に300時間以上運転する貨物労働者は労働時間を減らせない。今回の闘争で不便を強いられた国民には申し訳なく思う。やむを得ない闘争だったことを理解してほしい」