「『白紙』を掲げたあなたを(監獄の)中で待つ」
先日、慶煕大学ソウルキャンパスの掲示板に、中国語でこのように記されている「白紙」をアイドルグループ「EXO」元メンバーのクリス・ウーが掲げている写真が貼り出された。性的暴行の疑いで中国で懲役13年の刑を宣告されたクリスの写真に何者かがメッセージを合成し、「監獄の中」で「白紙デモに参加した人々」を待っているという脅迫メッセージを送ったわけだ。
12日の本紙の取材によると、ここのところ慶煕大、高麗大などのソウル市内の主要キャンパスの掲示板などに、中国政府の新型コロナウイルス封鎖政策に反対して韓国国内の「白紙デモ」(統制に抵抗する意味で何も書かれていない紙を掲げたデモ)に参加した中国人留学生たちに対する脅迫や警告の記された掲示物や落書きなどが複数見受けられる。先月30日、ソウル麻浦区(マポグ)の弘大入口(ホンデイプク)駅8番出口前に60人あまりが集まり、「白紙デモ」を行った。中国の新疆ウイグル自治区のウルムチで発生したマンション火災事故を追悼し、中国政府のコロナ封鎖政策に反対する、世界各地で相次いだ白紙デモの一つだった。
白紙デモの直後から、参加者を脅迫したりデモの黒幕についての「陰謀論」を語ったりする文章や画像が、これらのキャンパスの掲示板のあちこちで目につくようになった。「米国の中央情報局(CIA)は要員を募集して日常的に中国を侮辱している」「ポスター(白紙)を一度掲げるだけで、私も5万ウォン稼げる」「今の反対勢力の目標は中国も『色の革命』に陥れること」などだ。白紙デモ参加者は香港人や台湾人だと称し、激しい罵詈雑言を掲示板のあちこちに記した落書きも発見された。
白紙デモ集会の集会届を出すなど、主催者の一人として活動したAさんは本紙に「脅迫的な掲示物や落書きを見た周囲の留学生たちは『なぜこんなにひどい暴言を吐くのか分からない』『中国の教育は本当に怖い』などの反応を示している」と語った。デモに参加していないある中国人留学生も「監獄に行くこともありうるという文章やひどい暴言が書かれた落書きを見れば、脅威を感じざるをえない。実際にデモをした学生たちが中国に帰れば、告発され危険にさらされるかもしれないと思う」と話した。そして「コロナ禍以降、統制がひどくなった。ウルムチ火災事件後、かつてより政府に批判的な声をあげる若者たちが登場しはじめた。留学生の間でも意見が極端に分かれているようだ」と語った。
白紙デモに参加した中国人留学生たちは身元が明らかになることを懸念し、警察などの捜査当局には通報できずにいるという。警察の関係者は「事件の経緯を把握しなければならないが、名誉毀損や侮辱などの容疑を適用して捜査しうる事案とみられる」と語った。