世界的なエネルギー危機を機に再生可能エネルギーが予想よりもさらに急速に普及し、3年以内に石炭を追い抜いて世界最大の発電源になるという見通しが出た。再生可能エネルギー発電の割合を縮小している尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、このような国際社会の動きとは逆方向に進んでいるわけだ。
国際エネルギー機関(IEA)は6日(現地時間)、「ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー安全保障への懸念で、今後5年間の再生可能エネルギー発電設備の増加量が過去5年間の約2倍に達するだろう」と予想した。輸入化石燃料の価格が急騰し、各国が再生可能エネルギーの割合を増やす必要性を感じ始めたためだ。
IEAは同日発表した「再生可能エネルギー2022」報告書で、「今後5年間で再生可能エネルギー電力設備が世界の新規電力設備容量の90%を占めることになり、現在の中国の電力設備全体の容量と同じ2400ギガワット増加するだろう」と見通した。これに伴い、昨年世界の発電源全体のうち28%を占めた再生可能エネルギーの比重は、2027年までに38%に増え、2025年初めには石炭を追い抜いて世界最大の発電源になると予想した。
再生可能エネルギー設備の中で、従来の予測より特に急速に増加する部門としては、太陽光が挙げられた。IEAは「太陽光発電の累積設備容量は今後5年間でほぼ3倍の1500ギガワットまで増加し、2026年には天然ガス発電設備容量を追い抜き、2027年には石炭発電設備容量を上回る見通し」だと明らかにした。このような見通しは、欧州連合(EU)や中国、米国などで新たに打ち出された再生可能エネルギー関連政策を反映した結果だ。IEAは「これらの国々はいずれもエネルギー危機への対応として予想より早く新しい政策を導入している」とし、EUのリパワーEU(REPowerEU)、中国の第14次5カ年計画、米国のインフレ抑制法(IRA)の施行などを事例に挙げた。
リパワーEUは、2030年までにロシアへのエネルギー依存から脱却することを目標に、エネルギー供給の多角化と再生可能エネルギーへの転換を加速化させる計画だ。 2025年を目途にした中国の5カ年計画におけるエネルギー部門の計画は、石炭火力発電を厳しく統制しながら再生可能エネルギーを積極的に拡大することが主な内容だ。米国のインフレ抑制法は、電気自動車とバッテリーを含めた再生可能エネルギーの普及の拡大などに、2030年までに3690億ドルの財政を投入する内容が含まれている。
IEAは再生可能エネルギーの普及が急速に進んでいるが、依然として多くの国で再生可能エネルギー関連政策と規制の不確実性、脆弱な電力網と資金調達が再生可能エネルギーのさらなる拡大を妨げる要因になっていると指摘した。
このような点は韓国も例外ではない。韓国は文在寅(ムン・ジェイン)政権時代、再生可能エネルギー発電設備を急速に増やし、2030年までに発電量の30.2%を賄えるという目標を示した。発電会社各社の再生可能エネルギー電気義務供給(RPS)の割合も、2022年の12.5%から2026年は25%へと引き上げた。しかし、尹錫悦政権は最近発表した第10次電力需給基本計画の草案で、原子力発電の比重を高め、再生可能エネルギー発電の比重目標を21.6%に下げることにした。このため、再生可能エネルギーの義務供給比率も下方修正するという方針まで明らかにした。