尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は今月10日、就任6カ月を迎える。この半年を評価する世論は冷たい。20%後半から30%序盤にとどまる尹大統領の国政遂行支持率は、冷ややかな視線を裏付ける。尹大統領の任期初めの「ゴールデンタイム」は、乱暴な言動や公私の区別のない人事など「オウンゴール」と共に過ぎていった。週末ごとに開かれる保守派、進歩派両団体の光化門(クァンファムン)集会は、「統合は当然」と豪語して任期を始めた尹大統領の国政運営が分裂へと流れてきたことを象徴的に示している。
信頼喪失と無能
「『信なくば立たず』だ。この半年は一言でいえば信頼喪失だった」(チ・ビョングン朝鮮大学政治外交学科教授)
本紙の「尹大統領6カ月評価」に答えた多数の専門家は、尹大統領がこの半年の間で急速に国民の信頼を失ったと指摘した。先月29日に起きた梨泰院(イテウォン)惨事は、市民の脳裏に「国家不在」と「各自図生(それぞれが自分で生き残る方法を探る)」という言葉を再び思い出させた。
尹錫悦政権は、ソウルのど真ん中である龍山(ヨンサン)大統領室から地下鉄で2駅隣りの場所で起きた惨事において、総体的に崩壊した災害対応リーダーシップを露呈した。尹大統領は7日「国家安全システム点検会議」で警察の責任ばかりを追及した。「国民の安全に国家は無限の責任を負わなければならない」と普段口にしていた尹大統領の言葉は意味を失った。
政権初期に何度も繰り返された、大統領室人事における能力のない人物の「私的採用」疑惑や、国民の納得を得られない長官人事などは、期待を疑問と不信に変えた。「能力主義」を前面に掲げて大統領任期を始めた尹大統領の人事は、正反対に進められた。検察時代の側近を大統領室の要職に起用、夫人のキム・ゴンヒ女史の知人を大統領室職員に採用、イ・ウォンモ人事秘書官の夫人を国外訪問に同伴、長官候補者が相次いで辞任するなどの件で、政権全体の信頼度を落とした。
尹大統領は7月、与党「国民の力」のクォン・ソンドン議員に、同党のイ・ジュンソク前代表を「内部に銃を向けた代表」と称したショートメールを送った事実が明らかになり、「党務への介入はしない」という自身の言葉を自ら形骸化させた。
9月、英国・米国・カナダ歴訪当時に起きた卑語暴言問題と、これを否定し国会に向けた謝罪を拒否した尹大統領の態度は、国家指導者に対する信頼に致命傷を与えた。「議題と分析グループ ザ・モア」のユン・テゴン政治分析室長は「任期の10%が過ぎる間に国政運営に対する信頼を築くことができず、行政と国政に安定感がない」と述べた。
不安な外交とビジョンのなさ
尹大統領は韓米同盟の強化と韓日関係の改善を対外政策の重要な基調として掲げた。同盟と連帯して中国を封鎖しようとする米国のインド太平洋戦略とサプライチェーン構築にすばやく参加した。しかし、米国のインフレ抑制法(IRA)による韓国製電気自動車(EV)の損害問題を予防できなかった。同盟強化に重点を置きながら、米国の自国第一主義にまともに対応できなかったのだ。尹大統領は国内の批判世論に押され、9月の英・米・カナダ歴訪の際にバイデン大統領との首脳会談を通じて問題提起をすると言ったが、たった48秒の立ち話で終わった。韓日首脳会談も、岸田文雄首相を訪ねていって略式会談を行った後、手ぶらで帰ってきた。
その間に朝鮮半島危機は最高潮に達している。尹大統領は、北朝鮮が非核化対話に乗り出すならば果敢な経済支援を行うという「大胆な構想」を打ち出したが、意図通りに作動しないまま「強対強」構図だけが深まっている。北朝鮮の相次ぐ長・短距離ミサイル発射に、尹政権は武力示威と韓米合同空中演習「ビジラントストーム」の延長で対抗した。
国内政策でも、脱原発廃棄など文在寅(ムン・ジェイン)政権での政策をひっくり返すことを除けば、尹政権の明確な国政ビジョンや政策提示はほぼ見られない。慶煕大学フマニタスカレッジのキム・ユンチョル教授は「この6カ月間で未来の議題や国政課題の優先順位を決めるべきだったが、まとめられなかった」として「急ごしらえの大統領、準備ができていない大統領という認識が固まった」と話した。
協治と共感の欠如
尹大統領のこの6カ月において、野党や批判勢力との意思疎通・協治の意志は見当たらない。野党の協力がより切実な「ねじれ国会」の政局で、尹大統領は野党第1党である「共に民主党」の党代表と会ってもいない。むしろ先月19日、与党「国民の力」の院外党協委員長らを大統領室に招待した場で「従北(北朝鮮に従う)・主体思想派とは協力が不可能だ」と述べ、野党の反発を呼んだ。政治の不在は妥協が失われた民主主義の退行につながるという指摘が出ている。慶煕大学比較文化研究所のソン・ヒジョン研究教授は「『作動しない民主主義の時代』が開かれたと思う」と指摘した。
尹大統領は就任直後から出勤の途上で応じる略式会見(ドアステッピング=囲み取材)を続け、前大統領より国民への直接的なコミュニケーションの敷居をかなり下げた。しかし、態度で示す共感能力は足りなかった。梨泰院惨事の現場訪問で尹大統領は「ここでそんなにたくさん死んだのか」と言い、8月にはソウルの半地下アパートで発達障害をもつ人を含めた一家が死亡した水害現場を訪問した時、「なぜ早めに避難できなかったのか」と発言し、批判された。
「方向を示して実行を」
専門家らは、尹大統領が国政運営の原則を再点検し、信頼を回復しなければならないと主張する。財団法人ワグルのイ・ジンスン理事長は「経済、安保、気候惨事など、国内・国外の条件がますます悪化する状況で、大統領が苦痛に陥っている国民に希望を与え、耐えられる勇気を出すようにしなければならない」として「一緒に力を合わせて乗り越えようと大きな方向性と原則を一貫して示し、実行してみせなければならない」と語った。ソウル大学政治学科のパク・ウォンホ教授は、「大統領の名前が歴史に残るのは、結局のところ政策だ。国会の協力を得ることが大統領の仕事だと考え、積極的に取り組んで道を探さなければならない」と述べた。