尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の就任後初の本予算に関する施政方針演説が、共に民主党のイ・ジェミョン代表を狙った検察の捜査に反発する民主党所属議員169人全員欠席の中、ほぼ与党議員だけで行われた。尹大統領は「経済と安保の厳しい状況を乗り越えていくのに与野党の区別はない」とし、法定期限(12月2日)内の予算案議決を要請したが、与野党が対立の一途を辿っており、予算案と政府組織法改正案などの国会処理に難航が予想される。
尹大統領は25日、国会本会議場で開かれた「2023年度予算案に関する施政方針演説」で「全世界的な物価高、金利高、ドル高の流れの中、金融市場の変動性が大きくなり、経済の不確実性は高まった」とし、「韓国政府は財政の健全化を進めながらも、庶民と社会的弱者をより一層厚く支援する『弱者福祉』を目指している」と強調した。
尹大統領は来年度予算案について「政府がグローバルな複合危機にどのように対応し、どのように暮らしの懸案を解決していくかについて総体的な構想と方案を盛り込んだ」とし、「今、財政は厳しい状況だ。これまで政治的目的が先行した放漫な財政運用で財政収支赤字が急速に拡大した」と指摘した。これは前任の文在寅(ムン・ジェイン)政権の拡大財政基調を批判したものとみられる。また「来年度の総支出規模は639兆ウォン(約66兆円)で、2010年以後初めて対前年比予算を縮小編成した」とし、「健全財政の転換点になるだろう」と強調した。大統領室は来年度の政府予算案の3大キーワードとして、健全財政、弱者福祉、未来に向けた準備を挙げた。
尹大統領が国会本会議場演壇に上がったのは、5月16日の「新型コロナによる損失補償追加補正予算案」に関する施政方針演説に続き、今回が2回目だ。当時、補正予算案は与野党合意で議決されたが、最近文在寅前大統領とイ・ジェミョン代表を狙った検察捜査が本格的に進められ、与野党の関係が悪化したため、今後の予算案審査と政府・与党主導の法案の処理に難関が予想される。尹大統領は今回の演説で「国会の協力が切実だ」として「協治」の代わりに「協力」を強調しており、演説に先立って民主党と正義党が求めた暴言問題に対する謝罪要求にも応じなかった。
民主党議員たちは尹大統領が国会本庁に入場する際、中央ホール前の階段に集まり「野党弾圧中断せよ」などと書かれたプラカードを持って「沈黙デモ」を行った。本会議への出席を拒否した民主党は尹大統領の演説について、「我々が(世界的経済・気候)危機を乗り切れるのか、国民が期待と目標を持つには不十分で誠意がなかった」(キム・ソンファン政策委議長)と酷評した。パク・ホングン院内代表は議員総会で「民主党は国民の血税が無駄にならないよう来年度の国家財政予算審査にいつにも増して徹底的かつ強力に対応していく」と厳しい予算案審議を予告した。