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「南北関係」を処罰対象にした韓国検察…文前大統領まで狙うか

登録:2022-09-22 06:13 修正:2022-09-22 07:28
イ・ウォンソク検察総長が21日、ソウル汝矣島の国会議員会館に向かっている。イ総長は同日、国会法制司法委員会委員らに会った=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が国連演説で北朝鮮の核問題などについて何の言及もしなかった21日、韓国検察が文在寅(ムン・ジェイン)政権で南北関係を担当していたキム・ヨンチョル元統一部長官らを相次いで呼び出し取り調べを行った。検察は、同僚16人を殺害した北朝鮮の漁船乗組員の送還過程に関する捜査を通じて、前政権の安保ラインの中心人物をはじめ、南北関係自体を刑事処罰の対象にした。尹錫悦政権にも北朝鮮との公式・非公式の対話が必要であるにもかかわらず、検察が南北関係を規律する状況がかなりの期間続く見通しだ。

 北朝鮮の漁船乗組員の送還過程を捜査しているソウル中央地検公共捜査3部(イ・ジュンボム部長)は21日、キム・ヨンチョル元長官を被告発人として呼び出して取り調べた。キム元長官は前日にも検察に呼び出され、取り調べを受けた。2019年11月、北朝鮮の漁船乗組員らが送還された当時、統一部長官だったキム元長官は、国会外交統一委員会で、亡命意思に真摯さがないとみて北朝鮮に送還したと答えた。また、北朝鮮への送還を決定した主体は「安保室」だと答えた。これと関連し、検察は19日に取り調べを行ったキム・ユグン元大統領府国家安保室第1次長を同日再び呼び、北朝鮮への送還決定過程などについて尋ねた。

 検察の捜査状況と政界の見通しを総合すると、検察が照準を定めている文在寅政権の上層部はソ・フン元国家情報院長とノ・ヨンミン元大統領秘書室長、チョン・ウィヨン元国家安保室長、キム・ヨンチョル元統一部長官だ。捜査チームは、大統領記録館の家宅捜索で確保した証拠を分析した後、先月からソ・ホ元統一部次官、キム・ユグン元次長、キム・ジュンファン元国情院第3次長、キム元長官を連日取り調べるなど、捜査範囲を広げている。

 ソ元院長は、北朝鮮の漁船乗組員に対する合同調査を早期終了させる一方、合同調査報告書を統一部に伝達する際、「強制捜査の必要」「亡命」などの表現を取り除き、「対共嫌疑なし」という内容を加えるよう指示した疑いをかけられている。チョン元室長は、北朝鮮への送還決定当時、コントロールタワーを務めた大統領府国家安保室長だった。

 検察が前政権の安保ラインに狙いを定めている北朝鮮の漁船乗組員の送還、西海公務員殺害事件の捜査で争点になるのは、文在寅政権の不適切な指示と最初の調査内容の削除・変更があったかどうかだ。検察はまず大統領記録館への家宅捜査と実務者に対する取り調べを完了し、続けて国情院長と安保室長などを呼び出して責任者に対する取り調べを進めている。検察内外と政界では、最終的にいかなる形であれ、文在寅前大統領に対する取り調べを目指す可能性があるとみている。

 この事件は裁判に持ち込まれても最終結果が出るまで相当時間がかかる見通しだ。裁判の過程自体が今後の南北関係全般に影響を及ぼさざるを得ない。検察出身のある弁護士は「安保関係にまで職権乱用の法理を拡大するのは望ましくない」と話した。一方、検事長出身のある弁護士は「文在寅政権当時、無理して進めたものが多かったと聞いた」と述べ、捜査の必要性に言及した。

ソン・ヒョンス、カン・ジェグ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1059548.html韓国語原文入:2022-09-22 02:45
訳H.J

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