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韓国の元国家安保室長「北朝鮮漁師送還は国民を守るための決定…はばかることはない」

登録:2022-07-18 01:38 修正:2022-08-03 10:46
16人殺人、証拠隠滅、逃走の状況を公開 
「自白だけでは韓国で処罰できない 
国民の生命と安全は誰が守るのか」
チョン・ウィヨン元大統領府安保室長/聯合ニュース

 チョン・ウィヨン元大統領府国家安保室長が「北朝鮮漁師送還事件」と関連し、16人を殺害した彼らの犯罪行為を具体的に公開し、送還決定に「何もはばかることはない」という立場を示した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が彼らの送還を「反人倫的犯罪」として大々的な捜査を予告したことを受け、当時送還を決めた文在寅(ムン・ジェイン)政権の最高位級人物が反撃に出た。

 チョン元室長は17日、「凶悪犯追放事件に対する立場表明文」を通じて、合同尋問で確認した彼らの殺人と逃避過程を詳細に公開した。チョン元室長は「(2019年10月)犯人ら(3人)は真夜中に船首と船尾で夜間勤務中だった乗組員2人を先に殺害した後、操舵室で寝ていた船長を殺害した。そして船室で寝ていた残りの乗組員13人を、不寝番を交代しようと順に呼び出し、一夜にして全員を殺害し遺体を海に遺棄した」と明らかにした。また、彼らは犯行道具を含むすべての証拠物を海に投げ捨て、血痕を海水で洗い流した後、さらにペイントまで塗り直して証拠を完璧に隠滅したと伝えた。「船長の過酷行為に対する報復」であり、「他の船員たちは犯罪事実が発覚するのを恐れての犯行」だったという。

 彼らは犯行後、北朝鮮に戻ったが、共犯が捕まったため再び海に出てきた。チョン元室長は「(彼らは)イカを売って逃走資金を用意してから北朝鮮内陸の慈江道(チャガンド)の山奥に逃げることを謀議」し、「犯行後、実際に金策(キムチェク)港に帰った」とし、「逃走資金を調達する過程で共犯1人が北朝鮮当局に逮捕された」という。再び海上に出てきた彼らは、「海軍の統制にも応じず、北側に逃走することを3日間繰り返し」、「韓国海軍の特戦要員によって拿捕(だほ)され、押送」された。チョン元室長は、彼らがこのような内容を「合同尋問の過程で自白」したとし、「彼らの供述内容は、別の共犯1人を北朝鮮当局が逮捕した後、韓国軍が入手した諜報内容とも正確に一致した」と伝えた。チョン元室長は「これら凶悪犯は脱北者でもなく、亡命者でもない」とし、「当初、韓国に亡命する意思がなかった」と強調した。

 チョン元室長は「北朝鮮地域で北朝鮮住民が他の北朝鮮住民を相手に犯した凶悪犯罪と関連し、韓国の裁判所が刑事管轄権を行使した前例は一つもない」とし、「彼らの自白だけでは事実上処罰が不可能だ」と指摘した。さらに「結局、彼らが何の処罰も受けずに韓国社会に入ってきた場合、わが国民の生命と安全は誰が守るのか」と問い返した。

 与党から「当時、金正恩(キム・ジョンウン)委員長を韓・ASEAN特別首脳会議に招待するため、彼らを強制追放したのではないか」と指摘されていることについては、「北朝鮮が送還を望む脱北者は、このような破廉恥で残忍な凶悪犯よりは政治的な理由で脱北したり、亡命した人々だろう」とし、「北朝鮮に凶悪犯たちの送還を要請されたこともなく、追放した場合、相手国の受け入れ意思を確認しなければならないため、先に北朝鮮側に打診した」と説明した。

 チョン元室長は当時、政府が国会とマスコミにこのような内容を明らかにしたことを強調し、「いくら前政権を否定したくても、多くの省庁が協議し、韓国の国内法に基づいて決定して処理した事案を今になって関連省庁を総動員して覆すことは、自ら政府体制を崩すことに他ならない」と批判した。また、与党がこの事件と関連して特検と国政調査の実施を主張したことについては「当時公職者として法と手続きに従って国民を守るために最善の決定をしたため、何もはばかることはない」とし、「新たな事実が見つかったわけでもないのに、現政権が既存の判断をいかなる理由で、またいかなる過程を通じて覆したのかも、特検と国政調査で共に明らかにしなければならない」と述べた。

オム・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1051216.html韓国語原文入力: 2022-07-18 00:17
訳H.J

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