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「DMZは人類全体の土地…保存できなければ世界に恥をさらすことに」

登録:2022-09-19 02:19 修正:2022-09-19 08:40
[インタビュー]生態学者のチェ・ジェチョン梨花女子大学碩座教授
「2022レッツDMZフォーラム」共同委員長を務めた梨花女子大学のチェ・ジェチョン碩座教授=パク・キョンマン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「DMZ(非武装地帯)の価値は、国内より外国ではるかに高く評価されています。絶滅危惧種の重要な生息地であり、70年間にわたって人間の活動が排除された自然生態系としての価値は、他のどのような場所とも比較できません」

 韓国を代表する生態学者で、国立生態院の初代院長を務めた梨花女子大学のチェ・ジェチョン碩座教授は16日、DMZの価値を広く知ってもらうために京畿道が主催した「2022年レッツDMZフォーラム」でのキム・ドンヨン知事との対談で、このように強調した。

 DMZフォーラム組織委の共同委員長を務めたチェ教授に16日、京畿道高陽(コヤン)のキンテックスで話をうかがった。

レッツDMZフォーラムの共同委員長
キム・ドンヨン京畿道知事とオープニング対談
「生物多様性報告で外国で大きな注目」
「戦跡・生態価値をともに持つ観光資源」
ハーバード大学の恩師ウィルソン教授の教え
「南北統一後、調査することを想像すればわくわくするはず」

 「DMZは今や人類全体に属する土地になっています。いつか我が国の統一が実現した時、DMZをきちんと保全できなければ、世界は韓国を先進国として認めないでしょう」

 チェ教授が「DMZはもはや我が国の領土ではない」と宣言したのは、国立生態院の院長時代に生物多様性条約に議長として招請された時だった。「冗談ぽく言ったんですが、その時、私は国を売り渡す行為を少ししたんです。想像してみてください。タンザニアのセレンゲティ国立公園をある日、タンザニア政府がマンション団地として開発すると発表したとしましょう。世界はどんな反応をするのでしょうか。おそらく全世界の人々が立ち上がって『あなたたちの国ではあるが、そんなことはできない』と大騒ぎになるはずです。私は、DMZはほぼその水準に達していると思います」。同氏は「私たちがDMZを台無しにして全て開発してしまえば、大韓民国の地位は限りなく墜落するはず」とし「DMZの保全は大韓民国の地位の問題とつながっている」と語った。

 同氏がDMZと縁を結んだのは1980年代半ば。米国留学時代に指導教授だったハーバード大学のエドワード・ウィルソン教授の影響だった。「昨年冬に亡くなったウィルソン教授は、DMZに大きな関心と好奇心を寄せていました。私が訪ねるたびに『DMZはどうなっている(How is DMZ?)』と聞くんです。教授は私に『その中に何があるのか、いつか私たちが入っていって調査する日を考えてみなさい。想像しただけでもわくわくするじゃないか』といつもおっしゃっていました」

 1994年にソウル大学教授として帰国した同氏は、DMZフォーラムに参加するなど関心を持ち続け、国立生態院長になると本格的な研究を開始した。「軍の協力を得てDMZの中にカメラを設置し、かなり多くの映像資料を集めました。いかなる形であれ、調査と研究活動を活発に行い、DMZの関連資料を多く蓄積しておくことが必要です」

 同氏は、観光資源としてもDMZの活用は爆発的な効果をもたらすだろうと断言した。「私の指導教授はDMZを公園にしろと、米国で言えばゲティスバーグ国立公園とヨセミテ国立公園を合わせたような概念の国立公園を作るべきだとおっしゃっていました。ヨセミテは生態、ゲティスバーグは戦争の歴史がしみついた場所ですが、朝鮮半島のDMZはその2つを合わせ持っています。それがきちんとできれば全世界の人々が一度は来たがる場所になると思います」。同氏は「大韓民国に観光に来られた多くの方々が臨津閣(イムジンガク)を訪れているが、戦争の痛みもあるが逆説的に環境は温帯地方で最もよく保存されている場所。この2つをいずれもお見せすると言えば、より多くの観光客が訪れるはず」と述べた。

 同氏は、ドイツとは状況が異なるものの、統一を実現させるためには東西ドイツのように多くの交流を重ねてゆくべきだと語った。同氏は「ドイツの生態学者でありジャーナリストであるキャロライン・メーリングという方が『環境、スポーツ、音楽のようなソフトな分野から一つずつ交流していたら、ある日私たちの隣に自然と統一が近づいていた』と語っていました。私たちもがむしゃらに平和を押し出すのではなく、スポーツ、芸術、音楽、文化、学術などで頻繁に交流をしていると、ある瞬間に必ず、誰かが一緒にやろうと言わなくても、自然と一緒に暮らすことになるのではないかと思います」と語った。

 チェ教授はこの日のキム・ドンヨン知事との対談で「韓国は短期間で山林緑化に成功したが、木の種の多様性がとても乏しい」とし、「北朝鮮地域の山林緑化に備えて、生物多様性を考慮した巨大な育苗場としてDMZを開発してほしい」と京畿道に提案した。

 同氏は具体的なDMZ保存策として、DMZに新たに建設する道路は全て高架道路にしようと10~20年前から提案してきた。「せいぜい長さは4キロなので十分に可能であり、そうでもして生態系の断絶を防がなければならないと思いました。南北を結ぶ主要道路だけでも十数本ありますが、統一したのに政府が生物保存の観点から道をつなげないと言えば、地域住民の反発を防ぐ術はないでしょう」

 同氏は「DMZの生態系の保存のために最も必要なのは、開発を最小化することと、保存を基本とするという国民的コンセンサスを確固たるものにすること」とし「総合的なマスタープランを作って国民とコミュニケーションを取れば、韓国の国民は十分に理解して自ら動くはず」と語った。

 一方、DMZフォーラムは、境界地域のグリーンガバナンス、京畿道と黄海道の農業交流協力戦略、気候危機に対する南北共同対応のための地方政府の役割、京畿道「平和と統一のための社会的対話」推進策など、15の学術フォーラムを行った。そして、24日に臨津閣の平和ヌリで200人あまりの京畿北部道民と開催する道民フォーラムを最後に閉会する。

パク・キョンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1059106.html韓国語原文入力:2022-09-18 20:57
訳D.K

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