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「軍は死ねと言って私の背中を押している」…空軍強制わいせつ被害者の叫び

登録:2022-08-05 01:57 修正:2022-08-05 09:22
軍人権センター、軍検事尋問後に被害者メモを公開 
「被害者の窮地に追いやっている」 
空軍「厳重に受け取る…深刻さ認識」
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 「完全に悲しみ、被害を克服する瞬間が私にあっただろうか。…被害者として克服してみようともした。でも克服できない」

 空軍第15特殊任務飛行団(15飛)で男性軍人が女性軍人に強制わいせつする事件が発生した中、軍人権センターが4日に公開した被害者のメモの一部分だ。被害者は軍人権センターを通じて、強制わいせつ事件後に軍から適切な被害者保護措置を受けられずにいると明らかにした。15飛は、性暴力の被害者である故イ・イェラム中士(軍の階級名)が最後に勤務していた部隊でもある。強制わいせつ被害と2次被害を訴えていたイ中士が自殺して1年が過ぎたが、「変わっていない」との批判の声があがっている。

 軍人権センター付設の軍性暴力相談所はこの日、6月30日に被害者であるA下士(軍の階級名)が軍検察による被疑者尋問を終えて記したメモを公開し「同じ部隊に勤めていた故イ・イェラム中士が受けた苦しみを同じように体験している」と述べた。軍人権センターは被害者の意思に従ってメモを公開すると語った。

 A下士は、被害者から突如として「被疑者」とされ、被害を克服する時間もなく苦しめられている心境をメモに記している。A下士は、1月から4月にかけて直属の上官であるB准尉から強制わいせつとセクシャルハラスメントを受け続けたため、軍に届け出た。B准尉は4月26日に強制わいせつなどの容疑で拘束された。しかし軍警察の調査過程で、A下士は住居侵入などの容疑で検察に引き渡され、突如として被疑者になった。

 B准尉のいじめ行為に関与したというのがその理由だ。調査の結果、B准尉はA下士を新型コロナウイルスに感染したある軍人の家に連れて行き「感染者とキスをしてコロナにかかれ」などの荒唐無稽な指示を行っていた。A下士はメモに「私が何か過ちを犯したのかと考えてみた。何もしていなかった。私がついて行ったのは確かだが、すべてを指示したのはB准尉だ。こんな風にまた私の足を引っ張るのか」と書いていた。

 A下士はメモに「軍は死ねと言って私の背中を押している。まともな保護もしてくれず、私にすべてを耐えろと言って放置している」と書き、軍の対処が適切でないという心境もほのめかした。現在、A下士は部隊に戻れないため、3カ月以上請願休暇を使っている。最後まで部隊復帰が許可されなかったため、先日、部隊の移動を申請している。

 軍人権センターは「性暴力の被害者が被害を届け出ることは、回復と治癒を通じて日常を回復しようとする努力の一環だ。しかし空軍で被害を届け出た性暴力被害者たちは、いつまでたっても窮地に追いやられているばかりだ」とし、「空軍は責任回避のための釈明で責任を免れようとするのをやめ、どこで何を間違ったのか十分反省してほしい。そのスタートは関連する責任者を厳重に捜査、調査し、当然の責任を負わせることであるべき」だと強調した。

 軍人権センターのイム・テフン所長はこの日、自身のフェイスブックで「故イ・イェラム中士の死後、いったい韓国軍の何が変わったのか、1年間私は委員会で何をしてきたのか問い返さざるを得なかった」と述べ、空軍の兵営革新諮問委員会の委員職を辞任すると明らかにした。

 空軍は「重く厳重に受け止め、状況の深刻さを認識している」との立場を明らかにした。チェ・ユンソク空軍ソウル公報チーム長はこの日のブリーフィングで「様々な問題点を識別するとともに、対策を立てるための活動をしている」とし、「民間委員が参加する性平等(諮問)委員会でも議論し、対策を立てる予定だ。(空軍)捜査人権委員会を開催し、継続的に対策を講じていく」と述べた。

チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1053537.html韓国語原文入力:2022-08-04 17:30
訳D.K

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