本文に移動

米国が南北鉄道・道路連結事業に非協力的な理由とは(2)

登録:2022-07-12 06:41 修正:2022-07-12 11:36
[イ・ジェフンの1991~2021]
1953年7月27日午前、ウィリアム・ハリソン国連軍司令部中将(左の机に座っている人)とナム・イル朝鮮人民軍大将(右の机に座っている人)が、停戦交渉の場として使われた板門店の木造建物で停戦協定に署名している=国家記録院提供//ハンギョレ新聞社

 (1からの続き)

 米国は大統領府の決然とした態度に一歩引いたが、それでも待ったをかけ続けた。南北管理区域の京義線通路の地雷除去作業が最終段階だった2002年11月、米国は北朝鮮側の地雷除去作業が「疑わしい」として、相互検証を求めた。紆余曲折の末、北朝鮮が相互検証に同意し、検証要員の名簿を韓国側に通知した。米国は「国連軍司令部の権威を損ねることはありえない」とし、「北朝鮮が直接国連軍司令部に提出して許可を受けなければならない」と主張した。このことで地雷除去作業が3週間止まった。南北がかろうじてこの事態を収拾すると、今度は在韓米軍の代表的タカ派として知られる国連軍司令部副参謀長のジェームズ・ソリガン米空軍少将が、2002年11月28日、国防総省担当記者団懇談会で、「金剛山(クムガンサン)の陸路観光のために軍事境界線を越境する時は、国連軍司令部の承認を受けなければならず、韓国軍も停戦協定を順守しなければ南北交流協力事業はまともに行われないだろう」と公の脅しも辞さなかった。ソリガン少将のこのような強硬な態度に阻まれ、鉄道連結工事資材の対北朝鮮支援や金剛山陸路観光などが後回しになった。結局、韓国側が北朝鮮側を説得し、「南北管理区域は非武装地帯の一部であり、通行承認と安全問題は停戦協定に従わなければならない」という文言を南北付属合意書に明示し、問題になるような部分を解消したうえ、韓国側の大統領選挙も終わったことを受け、米国が言いがかりをつけることもなくなった

 このような一連の議論をめぐり、当時本紙は「現在は軍事境界線通過問題として映っているが、長期的には停戦協定を平和協定に切り替える問題までを含む複雑な事案」だと指摘し、イム・ドンウォン氏は『南北首脳会談への道―林東源(イム・ドンウォン)回顧録』で「万一我々が屈服したならば、南北関係は再び破綻し、6・15南北共同宣言は白紙化されたかもしれない」と書いた。

 停戦協定を根拠に非武装地帯の管轄権(jurisdiction)を固守しようとする米国側の執着は、3度の南北首脳会談と史上初の朝米首脳会談で、朝鮮半島に平和のそよ風が吹き込んだ2018年ごろも変わらなかった。ロバート・エイブラムス在韓米軍司令官兼国連軍司令官は、「第9回韓独統一諮問委員会」(2019年6月12~13日、江原道平昌)を機に江原道高城(コソン)の非武装地帯内の「829保存監視警戒所(GP)」をドイツ政府代表団に見せようとした統一部の計画を、「安全上の理由で不許可」した。当時、ソ・ホ統一部次官がエイブラムス司令官に抗議書簡まで送ったが、国連軍司令部はどのような「安全上の理由」があるのか最後まで説明しなかった。「829保存GP」は、非武装地帯の南北軍事対峙の証拠である監視警戒所を「9・19軍事合意」(2018年9月19日)に基づき撤去した事実を記念するために、永久保存することにした場所だ。

 2019年8月には、キム・ヨンチョル統一部長官が「坡州DMZ平和の道開放行事」(8月9日、京義線都羅山駅)に出席するついでに、非武装地帯内唯一の民間人居住地である台城洞(テソンドン)村を訪問しようとしたが、国連軍司令部は「住民の迷惑」を理由に取材陣の同行を認めなかった。大韓民国の閣僚が大韓民国の国民の住む村を訪問することが、住民に迷惑をかけると国連軍司令官(=在韓米軍司令官)が判断するとは、「笑止千万」だ。

 議論になっている国連軍司令官の「軍事境界線通過と非武装地帯出入り許可権」(以下許可権)は、停戦協定に基づく。停戦協定は許可権の範囲と手続きについて特に明記していない。協定の目的と効力範囲を序言に明示しているだけだ。「朝鮮半島で敵対行為と一切の武力行為の完全な停止を保障する停戦を確立する目的」であり、「停戦条件と規定の意図は、純粋に軍事的性質に属するもの」である。戦争の再発を防ぐことに焦点を合わせた停戦協定は、南北が非武装地帯を平和に活用し、和解協力のために軍事境界線を行き来する未来を想定していなかった。

 国連軍司令部を設置した根拠である国連安全保障理事会決議第84号(1950年7月7日)は、第1項で「防御のための韓国に対する支援と国際平和と安保回復」が目的だと明示している。これが国連軍司令部の持つ権限の前提だ。韓国軍の作戦統制権を国連軍司令部に「移譲」した大韓民国大統領李承晩(イ・スンマン)の公文書(1950年7月14日)も、その効力を「敵対行為が続く間」に限定した。したがって、国連軍司令部の許可権は「敵対・武力行為防止のための軍事的性質」に関するものに限定されるべきだ。

イ・ジェフン|統一外交チーム先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1050524.html韓国語原文入力: :2022-07-12 02:35
訳H.J

関連記事