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「深刻な男女格差」外国メディアの問いに、尹次期大統領「政治フレーム」

登録:2022-04-19 03:41 修正:2022-04-19 07:43
「女性長官、遠からず男性の座を占める」 
長官候補18人中3人指名後、観戦評のように回答 
先日、外国メディアと初のインタビュー、ワシントン・ポスト紙と 
「大統領選挙ジェンダー問題は政治フレーム」と 
むしろ批判も…現実とかけ離れた認識 
韓国のガラスの天井指数、10年連続で最下位圏
尹錫悦次期大統領=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が外国メディアとのインタビューにおいて、ジェンダー問題についての質問に対し一貫していわゆる「幽体離脱」式の回答を行い、改めて注目を集めている。尹次期大統領は当選前、同じ外国メディアに「フェミニスト」と書面で回答した後に、党の最終的な修正を経ていない回答だと述べて否定している。

 尹次期大統領は今月14日、米国「ワシントン・ポスト」に対し「大統領選挙期間に浮上したジェンダー問題は本質からかけ離れている『政治的なフレーム(politically framed)』だった」と述べた。大統領選挙期間中、自身のSNSに「女性家族部廃止」「誣告罪(虚偽告訴等罪)処罰強化」などの7文字の公約を載せ、一部の男超コミュニティ(男性の比率が高いコミュニティ)が集中的に提起したジェンダー問題を政治議題化した人物こそ、まさに尹次期大統領だったという世間の評価と、真っ向から衝突する回答だ。尹次期大統領はまた「今は男性長官が多数だが、遠からず女性が男性の座を占めるだろう」とも述べた。尹次期大統領は現政権の女性長官割り当て方針を廃棄するとともに、実際に指名した18省庁の長官候補のうち女性は3人のみ(16.75%)だ。この発言は長官候補指名の後に行われたものだ。今後5年間の政府任命権者が女性長官を重用する意志を表明したものなのか、真意を推し量ることは困難だ。

国際基準に従うとはいうものの、女性長官は18人中3人

 18日のワシントン・ポスト紙の同インタビューの全文を改めて見てみると、このような回答が飛び出す前に尹次期大統領が受けた質問は、「韓国は男女の賃金格差、女性の政治・経済参加の分野で最低(lowest)の順位を記録し続けている。このような格差を埋めるために、尹錫悦政権はどのような役割を果たしていくのか」というもの。「構造的な性差別はない」と述べたり「女家部廃止」を公約したりしている尹次期大統領の認識とは相反する前提で、尹次期大統領は実際に「既成世代では依然として女性の高位職への進出が足りないが、機会均等に対する共同体の献身のおかげで、女性の高位職への参加は非常に急速に(very fast)増えている。今は長官は男性が大多数だが、近い将来、女性が彼らの座を占める(take over)だろう」と答えている。尹次期大統領は「私は政治・社会的行為とジェンダー問題、女性の機会保障の部分は『グローバル・スタンダード』に従うべきだという明確な原則を持っている」と述べている。

「エコノミスト」が7日(現地時間)に公開したガラスの天井指数=エコノミストのウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 尹次期大統領は続いて「ジェンダー問題は大統領選挙期間中に議題となった…大統領選挙期間に浮上したジェンダー問題は、ジェンダー問題の本質とはかけ離れている『政治的フレーム』」だとし「既成世代とは異なり、若い世代は男性と女性という集団的差別に直面せず成長した」と述べている。同氏は構造的差別の観点からではなく、「ケースバイケースで(事件ごとに)」アプローチすべきだという従来の立場を繰り返し、その問いに対する回答を締めくくった。

 尹次期大統領は、女性の高位職への進出は急速に増えており、若い世代は構造的な性差別を経験せずに成長したと述べているが、これは現実とはかけ離れた発言だ。英国の時事週刊誌「エコノミスト」は先月8日、男女の賃金格差、取締役会の女性比率、女性の経済活動への参加率、女性国会議員の比率などを総合して「ガラスの天井指数」を算出し、発表している。これによると、調査対象となった29カ国のうち、韓国は29位。2013年から10年連続の最下位で、尹氏の認識のように「非常に急速に」改善していると見るのは困難だ。特に高位職への進出と関連が深い取締役会の女性比率が29位▽管理職の女性比率が28位▽女性国会議員比率が27位で最下位圏にある。

オンライン・バックラッシュに便乗したのは誰?

 「政治的フレーム」発言も納得し難いとの反応もある。一部の男超コミュニティで提起されていた女性家族部廃止、誣告罪の強化などの問題は、国民の力の予備選挙を経て主要議題として浮上しており、続いて尹錫悦候補が10大公約に「女性家族部廃止」を取り入れている。これによりオンラインでのバックラッシュ(反動)の政治資源化と女性排除の全面化が強化されているが、反省ではなく批判の素材にしている格好だ。

 同日のインタビューは、尹次期大統領が大統領選勝利後に初めて行った外国メディアとの単独インタビューだ。尹次期大統領は候補時代の先月7日、同じメディアとの書面インタビューで、「私自身のことをフェミニストだと思っている」という表現を使って物議を醸し、国民の力がそのような発言はなかったと否定した。インタビューを行った東京・ソウル支局長が回答書の原文を公開し、その発言があったことが確認されると、最終的な修正を経ていない回答が送られたと釈明している。

チェ・ユナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/1039408.html韓国語原文入力:2022-04-18 17:28
訳D.K

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