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韓国与党「検察捜査権完全剥奪」法案を発議…与野党の「20日戦争」始まる

登録:2022-04-16 06:29 修正:2022-04-16 08:25
所属議員全員が参加した改正案提出 
28日に本会議、来月3日に公布後、 
可決された場合は早ければ8月から施行 
会期を細かく分け、フィリバスターに対応する戦略
共に民主党のオ・ヨンファン議員、パク・チャンデ議員、キム・ヨンミン議員が今月15日午前、検察庁法・刑事訴訟法改正案を国会議案課に提出している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 共に民主党が15日、「検察捜査権分離」法案を発議した。民主党の計画どおり法案が可決された場合、早ければ8月から施行される。来月3日に予定されている文在寅(ムン・ジェイン)政権最後の国務会議で法案を公布するために速度戦を繰り広げる共に民主党と国民の力の「20日戦争」が始まった。

 民主党は同日、パク・ホングン院内代表ほか171人の所属議員全員の発議で、検察庁法改正案と刑事訴訟法改正案をそれぞれ提出した。既存の検察庁法で定められている、検事が捜査できる犯罪の範囲から、腐敗、経済、公職者、選挙、防衛事業犯罪、大型惨事など大統領令で定める6大重要犯罪と、警察が送致した犯罪に関連して認知した直接関連性のある犯罪などを削除した。検察の捜査権条項を削除したということだ。その代わり、検事の職務条項に警察と高位公職者犯罪捜査処(公捜処)所属の公務員の職務上の犯罪を新設した。検察の捜査権分離に伴い、既存の刑事訴訟法でも捜査は警察の職務に改正し、「検事は犯罪の疑いがあると思われる場合には犯人、犯罪事実と証拠を捜査する」と定めた条項などを削除して、検事の捜査を制限した。

 法案発議後、国会法制司法委員会の民主党幹事であるパク・チュミン議員は記者団に対し「検察が(6大重大犯罪に対して)直接捜査ができないようにし、警察が捜査してから事件を送致あるいは記録を送った後も、直接捜査ではなく警察を通じて補完捜査が行われるように変更した」とし、「捜査機関間の相互牽制のため、検察が警察と公捜処所属公務員に対しては引き続き捜査できるようにした」と説明した。検察業務を公訴提起と維持、警察と公捜処公務員の職務上の犯罪捜査に限定し、検とや警察、公捜処が協力しながら牽制する構造を作ることが狙いだ。

 今月12日に開かれた政策議員総会で猶予期間が短いという指摘があり、さらに論議を重ねたが、猶予期間は当初議員総会で決定した通り、法案公布後3カ月にした。法司委員のチェ・ガンウ議員は「昨年基準で検察が進めた6大犯罪の捜査は4~5000件に過ぎない」とし、「警察にこれを移管するのは3カ月で十分だ」と述べた。さらに「既存の公捜処や特殊庁(特別捜査庁)のような法案(設立の時)と連携させて、3カ月以内に機関が発足できるのかというような誤解を招く批判がある」としたうえで、「重大犯罪捜査庁(重捜庁)や特別捜査庁の問題は、新しい国家組職を新設することだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は政府組職を改編すると公約しており、政府組職改編の過程には誠実に臨む」と説明した。3カ月の猶予期間とは別に、「警察権力の肥大化」をめぐる懸念など副作用を補完する後続措置として、警察組織改編と関連した重捜庁などの設置問題は、尹錫悦政権が提出する政府組織法改正案を論議する過程で自然に取り上げるという方針を示したのだ。

今月15日午後、国会で開かれた「国民の力」議員総会でクォン・ソンドン院内代表と出席者たちが「検捜完剥(検察捜査権の完全剥奪)反対」のプラカードを持ってスローガンを叫んでいる=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 国民の力は「検捜完剥(検察捜査権の完全剥奪)強行処理の立法暴走を中止せよ」というプラカードを持ち、糾弾スローガンを叫ぶなど、世論戦に乗り出した。クォン・ソンドン院内代表は国会で開かれた議員総会で、「民主党がどのような『サラミ』作戦(臨時国会の会期を細かく分ける方法)を使うのか予測が難しい。来週は法司委レベルで『サラミ』作戦を使うだろうし、最後の週になって『検捜完剥法』2つを会期を分けて強行するのではないかとみている」とし、「何があっても阻止しなければならない」と強調した。クォン院内代表は議員総会後、記者団に対し、「民主党が『サラミ』作戦を使えば、わが党はなすすべもなくやられるしかない」としながらも、「『検捜完剥法』の違法性や不当性、問題点、副作用を国民に詳細に説明し、国会法合意精神を無視する民主党の過度な行動を国民が批判できるようする以外の作戦はない」と述べた。14日に続き、2日連続で国会を訪れたキム・オス検察総長は、「立法の前に、私に対する弾劾手続きを進めてほしい」と述べ、法案処理の中止を重ねて求めた。与野党は今月18日、法司委全体会議を開き、キム総長に意見を聞く予定だ。

 民主党は遅くとも28日の本会議を経て、来月3日に予定された文在寅政権の最後の国務会議で、法案を公布することを目指している。正義党の賛成なしに民主党(172議席)と民主党出身の無所属議員だけでは無制限討論(フィリバスター)を中断できる180議席(在籍議員5分の3以上)を満たすことができず、「サラミ」戦略を検討しているが、パク・ビョンソク議長が23日から来月2日まで米国とカナダを歴訪する予定であるため、支障をきたす恐れがあるとの懸念の声もあがっている。パク議長は記者団に「任意で調整できる日程ではない」と述べ、歴訪日程の調整の可能性を一蹴した。

チョ・ユニョン、チャン・ナレ、チェ・ハヤン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1039159.html韓国語原文入力:2022-04-1522:56
訳H.J

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