hankyoreh

尹錫悦次期大統領が今月10日午後、ソウル鍾路区通義洞の政権引き継ぎ委員会の共同記者会見場で、経済副首相など8省庁の長官候補を発表している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

　尹錫悦（ユン・ソクヨル）次期大統領が10日に発表した8省庁の長官候補の人選案を見ると、「平均年齢60.5歳、慶尚道出身の男性」が主流だ。尹次期大統領が「実力主義」を掲げながらも、女性や青年、世代などの多様性を疎かにしており、自分が強調した「統合」の価値にも反するという批判の声があがっている。

　同日発表された8省庁の長官候補は全員50～60代だった。文化体育観光部長官候補に指名された68歳のパク・ボギュン前中央日報編集者が「最年長」で、「最年少」は56歳のキム・ヒョンスク女性家族部長官候補とイ・ジョンホ科学技術情報通信部長官候補だ。尹次期大統領は大統領選挙期間中、「私が構想するデジタルプラットフォーム政府では、30代の長官が多く出るだろう」、「私が政府を率いることになったら青年を政府運営に大勢参加させると言ったが、これは単に20～30代の票を狙った発言ではない」などと「青年長官の任命」を公言したが、今回の人選には全く反映されなかった。

　出身地域も候補者8人のうち、キム・ヒョンスク（忠清北道）、ウォン・ヒリョン（済州道）、パク・ボギュン（ソウル）候補を除けば、いずれも慶尚道出身だ。これに先立ち、政権引き継ぎ委員会の引き継ぎ委員も「ソウル大学出身の50代男性」が主流となった「ソ5男（ソオナム）」の構成だと指摘されたが、内閣の人選にもこのような流れが続いたわけだ。

　特に女性は、女性家族部長官候補に指名されたキム・ヒョンスク候補が唯一だ。しかも女性家族部は改編が予定されており、人事聴聞会で承認されても短命に終わる可能性が高い。また尹次期大統領が、大統領選挙の過程で共に民主党のイ・ジェミョン大統領選候補の「大庄洞（テジャンドン）特恵疑惑」を全面的に提起したウォン・ヒリョン前選対委政策本部長を国土交通部長官候補に指名したことは、民主党の反発を買っている。民主党のコ・ヨンジン首席報道担当は、「彼が抜擢された理由は、昨年の大統領選挙の過程で虚偽と誇張された政治攻勢に先頭に立ったことに対する論功行賞としか考えられない」とし、「国政運営のパートナーとしての民主党に対する最小限の配慮もない一方的な措置だ」と主張した。「40年来の友人」というチョン・ホヨン福祉部長官候補と政界入り前から知人だったというイ・ジョンホ科学技術情報通信部候補を抜擢したのは、自分の知り合いを主に起用する尹次期大統領の性向を表したものとみられている。

　尹次期大統領の人選には、大統領選挙当時鋭く対立した陣営やジェンダー、世代間の対立を解消しようとする意志が見られないという批判の声もあがっている。次期大統領直属の国民統合委員会まで設置したが、主要人選に全く反映されなかったためだ。時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は、「尹次期大統領が当選直後に強調した統合と協治にふさわしい人選は見当たらない」とし、「感動が全くない人事だ」と評した。

　正義党はこの日、人選に対して「慶6男（慶尚道出身の60代男性）祭り」だと強く批判した。チャン・テス報道担当は同日の書面ブリーフィングで、「27人の委員のうち女性は4人に過ぎないソ5男の引き継ぎ委員会から慶6男内閣につながる格好だ」と指摘した。さらに、「『30代の長官が1人や2人ではなく、大勢出るだろう』と言っていた次期大統領の豪語は、どこに行ったのか問わざるを得ない」とし、「次期大統領が前言を翻したことを証明した長官候補指名に遺憾を表する」と述べた。民主党のコ・ヨンジン首席報道担当は、「大統領が目指すべき最高の価値は国民統合だ。尹次期大統領はバランスと調和を『論功行賞』と履き違えているのではないかと懸念される」と述べた。尹次期大統領は「政府高官の人選と検証基準は国民の目線と国民の観点からみるものだと思う」と述べただけで、具体的な言及はしなかった。