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尹錫悦次期大統領にとって「核心の関係者」は得だろうか、毒だろうか

登録:2022-04-09 08:48 修正:2022-04-09 11:30
[ハンギョレS]来週の質問
2020年、未来統合党(当時)のチャン・ジェウォン議員(右から)、ウォン・ヒリョン前済州道知事、クォン・ソンドン無所属議員が国会で並んで国民儀礼を行っている/聯合ニュース

 早ければ10日になる新政権初の内閣発表を控え、大統領職引き継ぎ委員会の関係者は「予想を大きく外れはしないだろう」と述べた。「政治1年生」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が、引き継ぎ委員会と内閣の人選で重要とみなすことの一つは「安定感」だという見方も付け加えた。斬新さや躍動性より経歴を優先順位に置いたという事実は、73歳のハン・ドクス首相候補者の指名にも表れている。

 尹氏がことあるごとに予想可能な道を選ぶという事実は、引き継ぎ委員会の結成過程でもすでに確認されている。「尹核関」(尹錫悦氏の核心の関係者)に分類されるチャン・ジェウォン議員とユン・ハンホン議員が、それぞれ次期政権の秘書室長と大統領府移転タスクフォース(TF)チーム長を担当し、選挙対策本部長だったクォン・ヨンセ議員が引き継ぎ委副委員長、政策本部長だったウォン・ヒリョン前済州道知事が企画委員長に任命され、選対本部の枠組みがそのまま引き継ぎ委に移った形になった。キム・ビョンジュン元常任選対委員長が地域バランス発展特別委員会の委員長として、キム・ハンギル元新政治民主連合創党準備委員長が国民統合委員長として引き継ぎ委に位置づけられていることも、これを証明している。尹氏は、「演技だけをしてほしい」発言の後に選挙戦を離れたキム・ジョンイン元総括選対委員長を除くほとんどの選対本部の関係者で引き継ぎ委を設けた。最初の組閣の下馬評に上がる絶対多数は、尹氏を推した野党「国民の力」の議員や、選対委の公約作成の役割を引き受けた教授グループだ。党内予備選挙陣営に続き、選対本部と引き継ぎ委に加え内閣まで占領する勢いだ。草創期の「尹核関」3人衆(チャン・ジェウォン、ユン・ハンホン、クォン・ソンドン)から、勢力を伸ばした「新尹核関」たちまで、巨大な尹核関グループが成すインナーサークルが強化される形だ。

 過去にも、主要な政治家の側近が「ドアノブ3人衆」「十常侍」「3チョル(全員名前の最後の文字が「チョル」がつく3人)」のように名付けられたグループを作ったことはあった。しかし、水面下で影響力を行使した過去の様相とは違い、自ら「尹核関」という勲功を示そうとする姿や、果敢に世論を動かそうとする態度は、過去にはみられなかった風景だ。尹氏に近いある関係者は、彼の人事の傾向について「一度信じた人は、なるべく突き放さない」ものだと説明した。“身内の者でのとりまとめ”に代表される兄貴的リーダーシップは、すでに大統領選の過程で何回も警告を受けたが、尹氏は、ことあるごとに内紛の震源だと指摘された「尹核関」に対し、措置を講じるどころかかばう姿勢を示し、今では引き継ぎ委の要職におき重要情報を握らせるようにした。「尹核関」グループが徐々に強く結集していったのは、そのようなリーダーシップから始まったものだという見方が出ている。

 8日に行われた、党・政府・大統領府の関係の一軸となる新しい院内代表の選挙でさえ、「尹核関」対「非核関」の構図で行われたのは懸念を感じさせられる。新しい院内代表に当選した尹核関のクォン・ソンドン議員は、2月末、地方の遊説現場で「地域予算を確保するのは、結局は大統領との人間関係が良いか悪いかに左右される」と述べ、世論で叩かれたことがある。7日には「当初から尹次期大統領を助けたことで、政権交替を成し遂げたのであればその功は認められるべきあり、あたかも何らかの利権や権力をむさぼる人のように表現することは控えなければならない」という居直り式の主張をしたりもした。健全な党と政府の関係への期待感を持ちにくいのはこのためだ。

 尹核関のインナーサークルのなかで回る「回転ドア人選」についても、懸念する声は少なくない。尹核関の全面浮上は、尹氏にとって得になるだろうか、毒になるだろうか。

キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1038161.html韓国語原文入力:2022-04-09 00:28
訳M.S

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