ドイツ政府は、2035年までに国内で消費するエネルギーをすべて再生エネルギーで調達することを目標とする法案を発表した。ロシアのウクライナ侵攻で世界各国のエネルギー「安保」に対する危機感が高まっている中、ドイツは従来の方向性に沿って再生エネルギーの拡大を長期的エネルギー政策として維持した。しかし、天候によって時間や季節ごとに生産量が変わる再生エネルギーの変動性を考えると、再生エネルギー100%目標の達成は順調には行かないだろうとの分析も出ている。
6日午後9時(韓国時間)、ドイツのロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候保護相は、ドイツの再生エネルギー法(Renewable Energy Sources Act、EEG)改正案などを発表した。この日、ドイツ政府は、17日の復活祭を前に発表した再生エネルギー関連法案パッケージを「復活祭パッケージ」と命名した。改正案は6月にも国会で可決される可能性があるという。
法案パッケージには、2030年までにドイツで消費される電力量の80%を、2035年までに100%を再生可能エネルギーで調達するとする内容が盛り込まれている。英国も2035年の再生可能エネルギー100%調達計画を発表したことがあるが、これを法案化したのはドイツが初めてだ。また「再生可能エネルギーの使用は公共の利益に最優先に寄与し、安保にも寄与する」という原則も改正案に盛り込まれた。
ドイツ社会における再生可能エネルギーの拡大の流れは強固であることが知られる。今月初めには、企業に近い自由民主党所属の財務長官であるクリスティアン・リントナー氏も、今後4年間で化石燃料への依存度を低下させるために2000億ユーロ(約265兆ウォン)を投じる計画を発表した。その際に、太陽光や風力などの再生可能エネルギー源のことを、エネルギー自立を可能にする「自由のエネルギー」と呼んでもいる。
目標達成は容易ではない。2020年現在、ドイツはエネルギーの41.1%を再生可能エネルギーで生産している。改正案どおりに進めるとすると、ドイツは陸上風力の発電容量を現在の2倍の115ギガワット(GW)へと引き上げなければならない。太陽光発電容量は約3倍の215ギガワットへと増やす必要がある。欧州の気候エネルギー専門シンクタンク「エンバー」の「グローバル電力報告書」は、昨年現在でドイツの電力量の47%は化石燃料から生産されており、太陽光と風力は電力全体の29%に満たないと分析している。今年に入ってから再生可能エネルギーの消費が半分を超えているのがせめてもの救いだ。AP通信などの外国メディアの先月28日の報道によると、ドイツ連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)は、1~2月のドイツの電力消費の54%を風力や太陽光など再生可能エネルギー電力が占めていると発表している。
ドイツ政府の今回の改正案について、エネルギー経済研究院で気候変動チーム長を務めるイ・サンジュンさんは「挑戦的目標だ」と評価した。イさんは本紙に「ドイツは『脱原発・脱石炭』を掲げるエネルギー転換政策を推進してきたこの5年間で、ロシア産天然ガスへの依存度が非常に高まった。戦争が続く中、国内の再生可能エネルギー発電量を増やすことで、エネルギー安保の危機感をなくすための措置とみられる」と述べた。そして「再生可能エネルギーの中でも安定的に供給できるエネルギー源である水力資源によって、太陽光や風力発電の変動性を補わねばならないと考えられるが、ドイツには水力資源がそれほど多くない。欧州大陸はつながっているため、他国からエネルギーを輸入できるという点で技術的な問題はないだろうが、再生可能エネルギーの100%目標のみを見れば非常に挑戦的だ」と分析した。