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空港出迎え、球場でビール、桜並木を散歩…活気取り戻しつつある韓国の日常

登録:2022-04-04 02:49 修正:2022-04-04 08:44
パンデミック前に回帰する仁川空港入国ロビー 
プロ野球開幕戦に6万6千人 
企業も出勤再開の動き 
専門家「高危険群で死亡続出を留意すべき」
3日午後12時ごろ、仁川国際空港第1ターミナルの入国ロビーで、市民が入国してくる人を待っている=永宗島/イ・ウヨン記者

 3日正午ごろ、仁川(インチョン)国際空港第1旅客ターミナル入国ロビーのC、Dゲート前は、入国してくる人を待つ100人あまりの市民であふれていた。電光板にはフィンランドのヘルシンキ、日本の東京、中国の瀋陽からの飛行機が到着したことを知らせる光が瞬いていた。入国ロビーに出てきた入国者たちは、すぐに自分を待っていた人を見つけ、握手と抱擁を交わした。2人の幼い子どもは「ママ」と呼びながら入国した女性に駆け寄った。今月1日、入国ロビーを取り囲んでいたフェンスと遮断棒が消えたことで蘇った風景だ。花束を持ってゲートをしばらく見つめながらフィンランドのヘルシンキから帰ってくる娘を待っていたKさん(57)は「数日前に入国ロビーのフェンスを撤去したという話を聞いた。娘が着いてすぐに見ることができるし、車に乗せることもできるのでうれしい。少しずつこのように元通りになっていくというのがあるべき姿だと思う」と話した。

 この2年間、人気の少なかった仁川国際空港は、再び活気を帯びはじめている。先月21日に政府がワクチン接種済みの海外からの入国者に対する自己隔離義務を解除したことで、空港内の防疫施設も撤去された。利用者数は新型コロナウイルス禍以降、1日に初めて2万人を超えた。海外からの入国者の公共交通利用も認められたことから、この日、空港前のバス停ではスーツケースを持った市民たちがバスを待っていた。

3日正午ごろ、仁川国際空港第1ターミナルの入国ロビー出口前で、入国した人々が市内行きのバスを待っている=永宗島/イ・ウヨン記者//ハンギョレ新聞社

 利用客は増えているが、コロナ禍以前の姿を完全に取り戻すにはもう少し時間が必要なようだ。一部の入国ゲートや出国ゲートは依然として閉鎖されており、海外ローミングの窓口や旅行会社のブースなども閉まっていた。旅行需要は増えているが、国際線の供給も以前の水準にとどまっている。しかし空港は、これからは人出が増えるだろうという期待であふれていた。第1ターミナルの入国ロビーの花屋で働くCさん(59)は「コロナ禍が始まってから、1日中客が1人もいなくて売れなかった花を捨てたことは一度や二度ではない。あちこちに規制線の張られた空港が怖いと言って、みな通り過ぎるばかりだった」とし「今週からは確実に客が増え、今日だけで10束近く花を売った。空港の雰囲気が戻って、気分を盛り上げようと花を買っていった」と語った。

 市民の足が向かう場所は空港だけではない。今月2日、韓国プロ野球は3年ぶりに入場者数制限なしに全国の5つの球場で2022シーズンの開幕を迎えた。コロナワクチン接種を証明する必要もなく飲食制限もないため、6万6000人以上の観衆が球場を訪れた。コロナ拡散以降の1日の最多観客数だ。チョ・ジョンジンさん(29)は「これまでは座席数制限のせいで球場のチケットがなかなか手に入らなかった。今はすべての客席が開放され『チキンとビール』も可能だというので、久しぶりに野球を思う存分楽しめそうだ」と話した。

仁川空港入国ロビーの運営体系がコロナ禍前の水準に戻された1日午前、第1ターミナル入国ロビーに設置されていた自治体の防疫案内所などの防疫関連施設を職員が撤去している=永宗島/キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 春の外出を計画する市民も増えている。週末を迎え、慶尚南道昌原市(チャンウォンシ)の鎮海(チンヘ)、済州道などの桜が開花した南の地域では、花見客が早くから集まった。 ソウル松坡区(ソンパグ)の石村(ソクチョン)湖や良才(ヤンジェ)川などの、ソウル市内の主な桜並木も3年ぶりに開放された。Kさん(34)は「屋外でのマスクの解除措置が検討されるといわれているが、それがいちばん楽しみ。コーヒーを飲みながら春風の吹く桜並木を散歩したい」と話した。Oさん(33)は「これまでは文化生活をあまり楽しめなかったけれど、これからは各種の展示や公演をもう少し自由に観覧できると思う」と語った。

 企業も在宅勤務を解除し、対面勤務や会食などを慎重に再開する動きを見せている。ポスコは4日からソウル地域で働く事務職社員の在宅勤務をやめ、出勤体制へと転換する。他の企業も在宅勤務の解除を検討している。

 累計感染者数は国民の4人に1人に達しており、防疫政策も社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の緩和など、日常回復に焦点を合わせた方向へと転換しつつあるが、緊張の手綱を緩めるのはまだ早いという声もある。翰林大学聖心病院のチョン・ギソク教授(呼吸器内科)は「コロナはインフルエンザより感染力もはるかに強く、致命率も高い感染症だ。屋内でのマスク着用や手の衛生、咳のマナーを守ることは依然として重要だ」と述べた。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)も「高危険群で死者が発生し続けているなど、犠牲者が出続けているということに留意すべきだ」と述べた。

3日午前、慶尚南道昌原市鎮海区の慶和駅公園を訪れた市民が、満開の桜を見物している/聯合ニュース
永宗島/イ・ウヨン、イ・ジュビン、ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1037308.html韓国語原文入力:2022-04-03 15:44
訳D.K

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