第20代大統領選挙が2週間後に迫った中、与野党の有力候補らは、新型コロナウイルスの拡散などで深まった不平等や両極化の解消などに対しては具体的な策を提示していない。候補らは先を争って「成長競争」を展開するばかりで、韓国社会の構造的問題と代案は語らないため、「誰が大統領になっても、彼らの描く国が見えない」という指摘が出ている。
共に民主党のイ・ジェミョン候補と国民の力のユン・ソクヨル候補の公約を23日に確認したところによると、イ候補は「転換的な公正成長」を掲げ、「輸出1兆ドル、国民所得5万ドル達成、株価指数5000で世界5強の総合国力を達成する」と明らかにしている。
イ候補に対し、ユン候補は「民間主導成長」で対抗している。ユン候補は、企業成長による民間主導の雇用創出を強調し、不必要な規制を廃止し、縮小される恩恵は一定期間猶予すると約束した。
これについて、仁荷大学社会福祉学科のユン・ホンシク教授は本紙の電話取材に対し「1960~90年代は成長すれば不平等が解消される時代だったが、今は脱産業化時代で、成長ではそれを解決できないにもかかわらず、成長に執着している」とし「先進国に仲間入りすれば成長率が低くなるのは避けられない。低成長基調のもと、不平等の拡大などの社会的問題が発生することに対する代案は見えてこない」と指摘した。与野党の候補が依然として「成長万能主義」から抜け出せずにいるということだ。
一方、市民団体「不平等を終わらせよう・2022年大統領選有権者ネットワーク」が大統領候補に不平等・両極化の解決策について聞いた結果、イ候補は炭素税と土地保有税などを財源とし、任期内に年100万ウォン(約9万6千円)(青年層は年200万ウォン=約19万2千円)の基本所得(ベーシックインカム)を公約として提示した。しかし、これさえも選挙過程で「これを前面に押し出すと票にならない」という周囲の反対を受け、選挙過程では前面に押し出していない。ユン候補は回答を示さなかったという。同ネットワークのパク・チョンウン共同執行委員長は「ユン・ソクヨル候補は市民社会の質問に回答すらせず、市民とコミュニケーションを取ったり市民のために仕事したりする働き手とはかけ離れた態度を見せている」とし、「イ・ジェミョン候補も深刻化している所得格差を縮めるための最高賃金制の趣旨には目を向けず、自分は『企業にやさしい』派だということを強調するのに余念がない」と批判した。これに対し、国民の力の選挙対策本部側は「300以上の質問書がある状況なので、実務担当の方で確認し損ねたようだ」と釈明した。
これに先立ち、ユン候補は、国民基礎生活保障(日本の生活保護にあたる)の生計給与支給基準を中位所得の30%から35%へと段階的に調整し、働く低所得層のための勤労奨励税制の所得基準も現行に比べ最大20%まで引き上げることを内容とする公約を発表している。新しい福祉政策ではなく、従来の政策を見直した選別的な個別支援レベルだ。
専門家は、2強候補の「票集め競争」がむしろ両極化を深めかねないと憂慮している。例えば、与野党候補いずれも20~30代の若者を対象に「仮想資産の活性化」を公約に掲げたが、事実上、仮想資産は「余裕資金」のある事務職の若者が主に投資する可能性が高い。「私がつくる福祉国家」のハン・ヨンソプ政策委員は「いま国家政策でより重要なのは、資産市場・仮想資産を通じた福祉体系ではなく、雇用の保障、最低賃金の保障といった社会保障体系が優先基盤にならなければならないが、このような論議は失われた」と指摘した。ユン・ホンシク教授も「『どの候補になっても、成長では私たちの直面している問題を解決することはできない』という点が、今回の選挙を経て確認されるだろう」と述べた。