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段階的日常回復で増える韓国の感染者数…ファイザー「経口治療薬、入院率89%低減」

登録:2021-11-07 21:49 修正:2021-11-08 06:51
非常計画発動する病床稼動率は75%なのに 
京畿道ではすでに77.6% 
メルクに続きファイザーも「経口治療薬」に向けた動きを速め 
韓国政府、27万人分契約
段階的日常回復(ウィズコロナ)施行後に迎えた最初の休日である7日、全羅南道咸平郡のエキスポ公園で開かれた「2021大韓民国菊香大展」で多くの市民が菊祭りを楽しんでいる/聯合ニュース

 韓国では今月1日から段階的日常回復(ウィズコロナ)が始まった後、徐々に新型コロナの感染者が増えたことで重症患者数も増え、病床稼動率が高まっている中、米国の製薬会社ファイザーが開発した経口コロナ治療薬が入院率を89%減らすという臨床試験結果を出し、注目を集めている。これに先立ってメルク社の経口治療薬20万人分の購入契約を結んだ韓国政府は、ファイザーとも7万人分の購入約款を結んだと明らかにした。

 7日の中央防疫対策本部の説明によれば、この日0時現在の新型コロナ新規感染者は2224人で、1日から7日までの一週間の一日平均感染者数は2155人だった。入院中の重症患者は405人で前日より6人減り、前日午後5時現在で全国の病床稼動率は57.9%だった。だが、首都圏を中心に感染者数が増えており、京畿道の病床稼動率は77.6%に達した。政府が段階的日常回復を停止する「非常計画」発動の条件として言及した「病床稼動率75%」を上回る事態になったわけだ。政府は5日に首都圏の医療機関を対象に準重症治療病床402床などに対する病床確保行政命令と予備行政命令を下したが、現場では病床確保だけでは状況に対処できないとの指摘が出ている。首都圏のある総合病院の医師は「政府は病床に余裕があるというが、京畿地域の重症患者は病床がなく、仁川に送られている」として「5千人までは発生しても大丈夫と言っていた政府の予測は誤りだった」と話した。

 こうした状況でファイザーは5日(現地時間)、経口コロナ治療薬「パクスロビド」の臨床試験結果をホームページに公開した。ファイザーは、臨床試験でハイリスク群の新型コロナ感染者389人に症状発現後3日以内にパクスロビドを投薬したが、28日間で3人が入院(入院率0.8%)し、死亡事例は一件もなかったと明らかにした。治療薬を投薬しなかった対照群(385人)では、同じ期間に27人が入院(入院率7%)し7人が命を失った。ファイザーはこのような試験結果に基づいて、パクスロビドが入院・死亡率を89%低下させたと発表した。ファイザーは今回の臨床試験結果を米食品医薬品局(FDA)に今月25日までに提出し、審査を受ける計画だ。米国現地では今年末には最終承認を受けられるとみている。ファイザーは今年末までに18万人が服用できる治療剤を生産し、来年上半期までに2100万人が服用する治療剤を生産する目標を立てた。

米国の製薬会社メルクに続きファイザーも経口新型コロナ治療薬の臨床試験で高い効果を確認したと明らかにした。米国ニューヨーク本社に掲示されている同会社のロゴ=ニューヨーク/AP・聯合ニュース

 先月1日、もう一つの米国の製薬会社メルク(MSD)社は、経口コロナ治療薬「モルヌピラビル」に対する775人の臨床試験を中間分析した結果、重症に発展するリスクを50%下げると分析されたと発表した。パクスロビドは服用する錠剤数(5日間30錠)がモルヌピラビル(40錠)に比べて少なく、患者の服用の負担を下げられる長所もある。メルク社はモルヌピラビルの価格を700ドルと策定したが、ファイザーも高所得先進国に対してはメルク社と類似の価格で販売すると発表し、韓国もパクスロビドを700ドル近い金額で購入する可能性が高い。

 韓国政府は両社から27万人分の経口治療薬の確保段階に入った状態だと明らかにした。保健福祉部はこの日「政府は来年1月までに40万4千人分の新型コロナ経口治療薬を確保する計画で、モルヌピラビル20万人分の購入契約とパクスロビド7万人分の購入約款を締結した」とし、「残りの13万4千人分は協議中であり、11月に確定する予定で、これに必要な予算も11月の国会で議論する計画」だと明らかにした。保健福祉部の高位関係者は「段階的日常回復以後、感染者が増え病床も不足するだろうが、治療薬が導入されればマスク・ワクチン・治療薬のセットを武器に大きな混乱なく新型コロナに対応できると期待する」と話した。購入約款は、契約に先立って購入数量・価格・日程など大枠について明示し署名するもので、経口治療薬のように購入しようとする国が多い時に先に約款を結んでおけば先行獲得の効果があり、事実上契約同様の法的効力を持つことになるというのが疾病管理庁側の説明だ。

 段階的日常回復で感染者数が増え続ける可能性が高い状況で、専門家は経口治療薬を最大限多く確保することが重要だと強調した。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「インフルエンザ治療薬から作られたモルヌピラビルに比べて、新型コロナにむけて作られた抗ウイルス剤のパクスロビドの方が効果的であるかもしれないが、新型コロナワクチンのケースのように、臨床で直接比較する前に効果を判断するのはまだ早い」として「新型コロナに対応するためには、メーカーを分けずに最大限多くの治療薬を導入することがカギだ」と述べた。

イ・ジェホ、シン・ギソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1018284.html韓国語原文入力:2021-11-07 18:50
訳J.S

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