本文に移動

[社説]感染激増する欧州、韓国の「ウィズコロナ」は同じであってはならない

登録:2021-10-23 02:26 修正:2021-10-23 08:10
新たな社会的距離措置調整案が実施された18日昼、ソウル鍾路区光化門のある食堂を訪れた市民が食事を楽しんでいる。4人以上で座っているテーブルがあちこちに見える=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は22日、「コロナ日常回復支援委員会」の第2回全体会議を開き、「段階的日常回復(ウィズコロナ)」の第1段階として、飲食店やカフェなどの生業施設の営業時間制限の解除を検討したことを明らかにした。来月初めの「ウィズコロナ」への転換の青写真が徐々に具体化しつつあるようだ。「日常の回復」はすべての国民が切に望んでいる。短期間でのコロナ禍の終息が不可能になった中で、ウィズコロナはこれ以上先送りできない課題だ。ただ、韓国より先にウィズコロナ実験に取り組んだ欧州諸国では感染が激増しており、これを反面教師とする必要がある。他国の例を綿密に検討し、試行錯誤を少なくすべきであろう。

 ウィズコロナへの転換を目前にしている今、他国の成功と失敗の経験は我々にとって有用な参考書となりうる。7月19日を「フリーダム・デー(自由の日)」と宣言し、真っ先にウィズコロナを開始した英国は最近、感染者が急増し、非常事態となった。1日の感染確認が5万人を超えたうえに入院患者も増え、病床不足の懸念が高まっているという。ベルギーやオランダなどの西欧諸国も同じだ。高いワクチン接種率に頼り、屋内でのマスクの着用などのほぼ全ての防疫規制を解除した一方で、寒い季節となり屋内活動が増えたということが大きい。一方、マスクの着用などの基本的な防疫規制を残している国々は、比較的安定した状況を保っている。フランスやイタリアなどが代表的な例だ。

 もちろん、ウィズコロナへの転換のためには防疫規制の緩和は不可欠だ。問題はその範囲と速度だ。医療対応の力量、国民の危険の受け入れ度、規制に伴う被害の程度、規制解除の影響などをあまねく考慮し、慎重かつ緻密にロードマップを作成しなければならない。政府もこれまで繰り返し「段階的、漸進的な日常回復」との方針を明らかにしてきた。望ましい方向性だと思う。さらに、ウィズコロナ以降に感染規模が急速に拡大した場合は、一時的に日常回復措置を元に戻しうるということを事前に国民に明確に伝え、理解を求める必要もある。ウィズコロナ基調を維持しつつも、流行の規模によっては社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を調節しているシンガポールの例が参考になる。

 ウィズコロナはコロナを克服したということを意味するのではなく、短期間では克服が難しいから、しばらくはコロナと共に生きていこう、という概念だということを肝に銘じる必要がある。当然、危険が伴わざるを得ない。その危険を最小化することこそ、我々の共同体がともに解決すべき課題だ。コロナとの戦い、終わるまでは終わりではない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1016289.html韓国語原文入力:2021-10-22 18:34
訳D.K

関連記事